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開発急ピッチも一時滞在施設の確保間に合わず
海老名駅周辺、帰宅困難対策が急務

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2017年3月13日(月) 11:44

海老名駅西口のららぽーとで初めて開催された防災イベント
海老名駅西口のららぽーとで初めて開催された防災イベント

 海老名市の帰宅困難者対策が遅れている。6年前の東日本大震災の教訓を踏まえて、主要駅を抱える都市部自治体では地元事業者らと誘導訓練を重ね、一時滞在施設の確保に努めている。小田急、相鉄、JRの3線が乗り入れる海老名駅は周辺開発が急ピッチで進むだけに、対策強化の重要性も高まっている。

 同市によると、海老名駅では震災時、約460人が帰宅困難者となった。その後の県被害調査の見直しにより、市内で想定する約9千人の帰宅困難者の大半が、同駅周辺で生じるとみられている。計画では一時滞在施設として近くの文化会館と中央図書館を開放、約3600人を受け入れる予定だが、試算上不足は明らかだ。

 同駅の1日平均の乗降客数は市人口の2倍超の約28万5千人(2015年度)で、前年度より約1万5千人増加。15年10月に西口地区の「まち開き」が行われ、商業施設やホテルなど事業者進出が続いている。不特定多数の買い物客への対応が遅れれば、大きな混乱も懸念される。

 同市危機管理課は「鉄道事業者だけでも3社あり、関係機関との調整に時間を要している。対応マニュアルを作成中で、できるだけ早く訓練を実施したい」と説明するが、1年前の取材時と同じ回答だった。

 同市は15年1月、災害対策基本条例を施行して市民、事業者、市の責務を明記、「自助」「共助」「公助」の具体策を示した。事業者には従業員と顧客の安全確保を求め、とどめ置きのための食糧備蓄(3日分以上)などを促した。

 こうした状況下、相鉄は16年12月、災害時帰宅支援マップを初めて作製して駅で配布。西口のららぽーとは2月26日、防災啓発イベントを開催した。同店を運営する三井不動産は「来店者用に3千食を備蓄しているが、これは1日分想定。基本的には市指定の一時滞在施設に誘導する」と話している。

 同駅周辺においても民間事業者は帰宅困難者の受け入れ協力には慎重のようだ。ある事業者は「商業施設では売り場での盗難対策も必要で、対応できる職員が少ない。熊本地震では2度目に規模が大きかったので、余震などの発生時、受け入れた人が負傷した場合の補償リスクがある」と新たな課題を指摘する。

 発展著しい同市は、県央地域のターミナル駅の利便性をアピールする。それならば、住民同様、来街者も安全・安心を実感できる災害時の取り組みが求められる。

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