「音楽のまち」のシンボル復活へ国境を超えた支援―。世界的な音楽祭の一つ「ザルツブルク音楽祭」で今夏行われた慈善興行の収益金など20万ユーロ(約2100万円)が24日、東日本大震災で被災し使用できなくなっているミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)の復旧へ川崎市に寄付された。同音楽祭の開催地、オーストリア・ザルツブルク市は川崎市の友好都市。モーツァルト生誕の地から、大きな“贈り物”が届けられた。
同日、オーストリア大使館公邸(東京都港区)で支援金授与式が行われ、同音楽祭のアレキサンダー・ペレイラ芸術総監督と川崎市の阿部孝夫市長らが同意書にサインした。授与式には、同市議会の大島明議長、同ホールを運営する川崎市文化財団の北條秀衛理事長、川崎市フランチャイズオーケストラの東京交響楽団(東響)の大野順二専務理事・楽団長らも出席。阿部市長は「多大な寄付を頂き感謝する。新生ミューザから再び音楽のまち・かわさきを発信していきたい」と述べた。
同音楽祭は今夏、オペラ「イオランタ」(チャイコフスキー)と「ナイチンゲール」(ストラビンスキー)の舞台最終リハーサル稽古を一般公開し、公演の純利益全額をミューザ再建のために寄付することを発表した。
両市は1992年に友好都市提携。ミューザ川崎シンフォニーホールの開演ベルは、ザルツブルク州議会議員から贈られたザルツブルク大聖堂の鐘の音を使用。東響の音楽監督には、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の音楽監督だったユベール・スダーンさん(ザルツブルク市名誉市民)が就任するなど関係は深い。音響設備など施設面も含め、ザルツブルク音楽祭の関係者は同ホールを高く評価しており、復旧への協力を申し出ていた。
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