30日に就任2年を迎える横浜市の林文子市長は神奈川新聞社のインタビューに応じ、「観光は横浜経済を活性化させる重要な産業になる。文化芸術を振興し、観光資源にしていく」と、世界に誇れる文化芸術のまちづくりに積極投資する戦略を鮮明にした。財政規律の要となる市債発行については、東日本大震災後の非常事態への対応などを踏まえ、抑制にこだわらない柔軟姿勢を示した。
―2年間の市政運営の手応えは。
「とにかく市長と職員との壁を取り払う努力をしてきた。それは議会や経済界の方たちも同じで人間的な信頼関係づくりに努めた。いま政策を推進していく上でとてもプラスに働いている。私自身も実践しているが、職員には自分から現場を歩いて行動する営業マインドを求めてきた。例えば公約で掲げた待機児童がこの春、前年比37%減という数字で表れたのは現場の声に誠心誠意、応えてきた証左だと思う」
―今後「林カラー」をいかに鮮明化するのか。
「3年目に入り、ものすごく成果を出し、花を開かせなくてはいけない。当然、子育てや医療、福祉分野には引き続き力を入れていく。その財源を生むためにも経済活性化が基本だ。5月に創設した文化観光局を中心に、横浜の素晴らしいロケーションや施設、人の力をもっと生かしたい。魅力的な港を観光の中核に据えたい。開催中のヨコハマトリエンナーレ(現代美術の国際展)も評判が良い。わくわくするイベントを絶え間なく企画し、にぎわいをつくる。横浜といえば文化芸術の都市と思い浮かぶようなまちづくりをイメージしている」
―一方で財政は厳しい。今後の市債発行など財政運営はどうするか。
「バランスはすごく難しいが、縮小均衡の発想では駄目だ。将来を考えて震災復興をしなければならない時に、何もせずただ待っているわけにいかない。コストカットをしてもなお厳しい状況はあるが、選択と集中で必要なところにはお金をかけていきたい。もちろん財政規律を守る努力は最後まで続ける」
―二重行政の解消を目指して横浜市など政令指定都市が府県から独立する大都市制度の議論が進んでいる。
「これは待ったなしになってきた。今回の被災地支援などでも政令市の力がいかに重要だったか大勢に理解していただけたと思う。半世紀以上も制度が全く改善されず、大都市ほど財政的に厳しく、矛盾が起きている。現場と向き合い、完結した行政ができるわれわれにもっと自由裁量が必要だ。先日、国の地方制度調査会の臨時委員になった。大都市に権限を与えることは日本全体の経済活性化にもつながると強く主張していきたい」
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