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頼られる存在目指し 17年度横浜市予算案連載(上)スクールソーシャルワーカー

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2017年3月2日(木) 17:03

定期的に開かれるSSWの研修会。事例を持ち寄って対応を検討し、スキルアップを図る=横浜市内
定期的に開かれるSSWの研修会。事例を持ち寄って対応を検討し、スキルアップを図る=横浜市内

 「UFOみたいだと言われるんです。いるらしいけど見たことがないって」。横浜市の統括スクールソーシャルワーカー(SSW)は自身の存在感を自虐的に表現した。

 市は2008年度から、福祉的な課題を原因とする学校での困難事例解決を目的に、関係機関との連絡調整役となるSSWを導入。15年度から18区全区に1人ずつ配置し、16年度にはさらに統括担当を置いた19人態勢となった。

 この統括担当は1日3校程度を訪問して、不登校や虐待などに対応するほか、週1~2回の検討会でさまざまな事例の解決法を探る。「UFO」の実態は超多忙だ。

□□□ この統括担当の場合、SSW初年度の担当案件数は年間20件程度だったが、4年目の現在は5倍の約100件に上る。大半で「子ども、学校、保護者の3者の関係がこじれている」のが実情だ。SSWには、情報収集・整理と関係調整能力で、3者を結び直すことが求められる。

 こんな事例があった。長男が不登校で、母親から学校へのクレームが絶えず、対応に困った校長がSSWに依頼してきた。長男、母親、学校それぞれから詳しく話を聞いたところ、母親は実は長女と不仲で、長男が悩んでいることが分かった。児童相談所などの介入で母親と長女の関係が改善すると、長男は学校に通い始め、母親のクレームもピタリと止まった。

 学校は子どもの異変を察知できる場だが、個人情報保護の観点もあり、家庭環境の詳細情報を把握していないことが多い。異変の背景には、虐待、貧困、発達障害、親の養育力不足や精神疾患などが複雑に絡み合っており、ケースによっては要保護児童対策地域協議会などで、守秘義務を課しつつ個人情報も交換して問題行動の原因を突き止め、関連機関につなぐ必要がある。SSWの役割は大きい。

□□□ にもかかわらず「UFO」に例えられるほど認知度は低いのはなぜか。「新しい職種で、力量不足のSSWがいるのも事実」と統括担当は課題を認める。

 SSWの資格要件は社会福祉士もしくは精神保健福祉士かそれに準ずる者。本年度は20~60代までと幅広く、学校や地域療育センターなどで豊富な経験を積んだ人から、大学新卒者に近い若手までばらつきがあるのが実情だ。

 東京電力福島第1原発事故で横浜市に自主避難した男子生徒(13)がいじめを受けた問題ではSSWが派遣されず、第三者委員会から「究極の無駄遣い」と厳しい指摘を受けた。市は17年度当初予算案にSSWの4人増員など関連経費6200万円を計上。増員するSSWは方面学校教育事務所にチーフ担当として配置し、人材育成も含めて対応力の底上げを図る。子どもや保護者だけでなく教員も直接相談できる窓口にもなる予定だ。

 「力量を高め、学校や地域に頼られる存在になりたい」。統括担当は力を込めた。

◆ 林文子市長が「市民との約束を果たす決意を込めた」とした17年度予算案の現場を歩く。

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