
焼失した旧吉田茂邸(大磯町西小磯)の再建に向け、今春解散した財団法人「吉田茂国際基金」から2億7658万円と蒋介石の書など段ボール箱30個分の資料が大磯町に寄付され、感謝状贈呈式が5日、大磯町郷土資料館で行われた。中崎久雄町長から感謝状を手渡された基金代表清算人の和田清治さんは「町が基金の財産を引き継いでくれることを心から感謝している」と、旧吉田茂邸再建への期待を述べた。
基金は、吉田国際教育基金(設立1964年)と吉田茂記念事業財団(同71年)を94年に統合、外交関係の調査研究の助成などを行ってきた。しかし、公益法人制度改革などを受け解散を決定。残った財産は旧吉田邸再建などに生かすため、同町に寄付することになった。
2億円は再建に、残る7658万円は再建施設の運営費などに充てる。これで同町の「旧吉田茂邸再建基金」は計2億6456万円(6月30日現在)となる。また、資料の中には、中華民国初代総統の蒋介石が64年、吉田茂86歳の誕生日に贈った書や、吉田茂が経済学者小泉信三に送った書簡80通もあり、貴重なコレクションとなっている。同資料館は資料の整理を行うとともに、蒋介石の書などの展示を始めた。
町は今回の寄付を受け、東日本大震災でストップしていた再建基金の募金活動を再開。できるだけ早く再建骨子案もまとめたいとしている。中崎町長は「国、県、町が一体となって再建への取り組みを進める」と決意を述べた。
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