大和市は、重い持病のある一人暮らしの高齢者が自宅で利用する緊急通報装置を、自力通報が困難な場合でも作動するシステムに一新した。自宅に利用者の体温低下を感知する人感センサーを3カ所設置。ベッドから落ちたり、衰弱したりするなど利用者が一定時間動けなくなると、看護師が詰めるコールセンターに自動通報される。
市によると、こうしたシステムの採用は県内では珍しいという。1988年から運用された従来型は、利用者がペンダントなどのボタンを押すことで通報していた。ところが、「利用者がいつでも自力でボタンを押せるとも限らず、課題となっていた」と市の担当者。新システムは人が動かなくなると体温が下がることに着目し、異常を判断する。市が負担する費用も年間約1500万円と従来型と変わらないこともあり、導入が決まった。
利用者の負担は月額約1900円。収入に応じて減免される。センサーは家の広さにより、自己負担で増設することもできる。5月2日から従来型との交換工事を進め、6月から本格運用を開始。現在、心疾患や脳血管疾患などの持病がある約340人が利用しているという。
6月18日には80歳代の男性が自宅で衰弱し、動けなくなっているのをセンサーが感知。通報を受けたコールセンターが家族と消防に連絡。家族と救急車が男性方に駆けつけ、男性は事なきを得た。
市は「新システムを高齢者の見守り強化と孤独死の防止に役立てていきたい」と話している。
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