お城ブームの中、小田原市は2011年度から小田原城の整備基本構想を見直す作業に入る。馬屋曲輪(くるわ)の修景整備が終わり、4月から御用米曲輪の整備に着手したが、史跡を忠実に復元するだけでなく、市民が憩いを感じられる空間も取り入れていく方針だ。
3月で整備が終了した馬屋曲輪は登城者のための馬屋が置かれた区域。広さは約7800平方メートル。2000年度から発掘調査が始まり、馬出門(うまだしもん)や櫓(やぐら)台の復元、馬屋や大腰掛けの位置を看板で表示するなどの整備を実施した。
本丸の南側にあるこの区域は正規の登城ルートに当たる。整備により大手正面から城の景観を見られるようになった。総整備費は約6億6千万円(国が約半額負担)。
御用米曲輪は江戸時代に幕府が米などを保管する蔵が最大6棟あった区域。広さは約1万8800平方メートル。石垣でなく土塁で囲まれ、中世期の特徴が残されている。
基本構想の見直しは昨年、植栽管理計画に市民団体が反発したことがきっかけになった。緑の保護を求める市民の意見を反映して「極力保全を前提に検討する」と方針を転換した。
小田原城は国指定の史跡であることから、市は1993年に整備基本構想を策定。史跡にそぐわない動物園や遊園地などを移転・撤去、江戸末期の姿に近づける方針を採ってきた。
一方、史跡整備とは別に60年建設の天守閣は耐震不足の問題を抱えている。年間約40万人が訪れる観光のシンボルでもあり、対策が急がれる。
市文化財課は「中心市街地内にあり緑化や都市公園的な視点でも検討する。国の方針を踏まえながら2~3年かけて構想全体を見直したい」と話している。
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