庭が広かったり、防音効果に優れていたりする「一芸物件」を集めた新たな空き家バンクを、横須賀市が2017年度に創設する。立地条件の悪さなどから市場に流通しにくかった物件に付加価値を付けることで、新たなニーズを掘り起こす試みだ。市の空き家バンクとしては三つ目で、今春の開設へ準備を進めている。
別のバンクで扱う谷戸地域を除く市内全域が対象で、一戸建て住宅を想定する。売却や賃貸を希望する所有者に物件を登録してもらい、市のホームページ(HP)で公開。「周囲を気にせず楽器演奏ができます」「広い庭で大型犬が飼えます」といった利点を強調し、特定の趣味やニーズに応える工夫を凝らす。
16年度に設置した市の専門部署には、空き物件の対処に悩む所有者からの相談が複数寄せられていた。多くは「駅から遠い」「築年数が古い」「車が入れない」といった条件がネックの上、低価格物件のため不動産業者が扱いたがらない事情もあった。
市は14年3月に「駅周辺谷戸地域空き家バンク」を、15年4月に「子育てファミリー等応援住宅バンク」を創設。リフォーム費用を一部助成するなどして、市外からの転居を促してきた。新バンクについても、登録件数や契約状況などを見ながら補助メニューを検討していく。
5年ごとに行う国の住宅・土地統計調査によると、13年の市内の空き家数は2万8830件。総戸数の14・7%に上り、全国平均(13・5%)を上回る。