葉山町の下水道投入施設建設計画が、大幅な見直しを迫られていることが9日、分かった。町は用地の一部を県道路公社から借り受けると想定し、本体工事の仮契約まで済ませたが昨年12月下旬、既に「道路」として町に移管されていたことが判明。ところが、町まちづくり条例は「道路」を敷地と一体化して開発する行為を認めておらず、自ら「待った」をかける格好になったからだ。町は「県の土地という思い込みがあった」と初歩的なミスを認めており、建物の規模を縮小した再設計を急ぐ。
同施設は、し尿を公共下水道に投入するための役割を担う。町はし尿を町クリーンセンター(同町堀内)で焼却処分してきたが、環境への負荷を軽減しようと、公共下水道による処理への転換を決定。2008年度に葉山浄化センター(同町長柄)に隣接する現用地を選定した。
建設用地は、逗葉新道沿いに立つ浄化センターに隣接する。町は約420平方メートルと約200平方メートルの町有地などを約120平方メートルの同公社所有地がつなぐと認識していたため、同公社に協力を依頼。全面積約770平方メートルを建設用地として09年度に1890万円で設計委託。10、11年度の2カ年で鉄筋コンクリート造、地下1階地上2階の同施設(総床面積380平方メートル)の建設を計画した。総工費は約3億6千万円。一方で完成までの間、横浜市にし尿処理を委託した。
昨年11月に入札、本体工事の仮契約を済ませた町は、12月の町議会に仮契約を本契約とするための議決を求めて議案を提出。しかし、土地の借り受けに関する承諾書が作成されていなかったため、議案を撤回した。
町が同公社所有と認識していた土地が1993年5月、既に「道路」として町へ移管されていたことが判明したのは撤回直後の12月下旬。町は「同公社が75年9月、この土地を町に寄付する意向を示した経緯は知っていたのだが…」と説明するも「登記簿は一度も確認しておらず、思い込み、調査不足があった」と、ミスを認めて反省しきり。
ところが、町まちづくり条例は町有地であっても「道路」を別の敷地と一体化して開発する行為を認めておらず、結局、町は浄化センター側の約420平方メートルの町有地だけを利用する建物の規模を縮小した計画へと変更せざるを得なくなった。それでも「年間約9千キロリットルを処理する当初計画は実行できる」と町。11年度中の完工を目指し、再設計を急ぐという。
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