藤沢市が4月に開設した「ふじさわ宿交流館」の建設工事を巡り、市と施工業者が係争に発展する異例の事態となっている。契約上の工期を18日間超えたことから市は業者を6カ月間の指名停止処分とした。これに対し、業者が「正当な理由がある」として横浜地裁に「仮処分命令申立書」を提出、15日に審尋が行われた。市は「契約に違反している」とし、業者は「工期は『書類上調整する』と市と交渉し合意していた」と主張している。
同市西富に2階建て交流施設(延べ床約376平方メートル)を建設する工事で、昨年9月着工、今年3月31日に完成する予定だった。建築費は約1億4千万円。
着工当初、使用するくいの作製に予定より1カ月余分にかかることが判明し、工期を1カ月延長。さらに、重機を現場に入れる許可が予定通り下りず着工そのものも約1カ月遅れた。
市は昨年11月中旬、業者に「工期を過ぎたら行政処分せざるを得ない」と文書で厳守を伝えていた。
市は完成期限を目前に控えた3月21日、外構工事の一部が工期中に完工できないことを把握。市の計画建築部公共建築課によると、この時、業者と「いったん完成したことにして、残る外構工事の一部は『軽微な修理』として扱い4月早々に完成させる」ことを口頭で合意していたという。
ところが、市の別の部署である財務部検査指導課が3月31日に行った現地調査で、未完成と判断。市は「契約上、工期に間に合っていない」契約違反に当たるとして、遅延損害金の請求と6カ月間の指名停止処分を下した。
公共建築課が「完成していないと知りながら『竣工(しゅんこう)届け書』を作成、検査指導課に提出した」として、市は担当男性課長を文書訓告処分にした。
業者は「怠けて工期が遅れたわけではない。建物だけでも完成させようと昼夜問わず対応した。指名停止は一方的」と話している。
施設は4月18日に完成、30日にオープンした。