
県は、2015年に県内を訪れた観光客の数(速報値)が、前年比4・8%増の1億9291万人で過去最高だったと発表した。初めて1億9千万人を突破し、県観光振興計画の16年の目標値(1億9200万人)を1年前倒しで達成。箱根・大涌谷の火山活動の影響による減少要因もあったものの、圏央道のさがみ縦貫道全線開通などによるアクセス向上などが寄与したという。
県観光振興計画では計画最終年となる18年の目標を2億人と設定。黒岩祐治知事は「この目標も前倒しで達成したい。外国人の訪日観光客の伸びは全国の伸びに比べ、神奈川では少ない。眠っている観光資源を発掘して磨き上げていきたい」と話している。
観光客の内訳は、日帰り客が4・9%増の1億7689万人、宿泊客は4・0%増の1601万人だった。六つの地域別でも、箱根・湯河原地域を除く全てで前年を上回った。横浜・川崎地域は9・3%増の約6479万人。上野東京ライン開業で首都圏からのアクセスが改善し、横浜・みなとみらい21(MM21)地区や桜木町周辺の観光施設を中心に増加した。横浜マラソンなどのイベントも客足増に貢献した。
さがみ縦貫道の全線開通の効果が特徴的に出たのは、相模湖・相模川流域と湘南地域。相模湖・相模川流域では、前年から相模湖周辺で66万人増、津久井湖・城山湖周辺で10万人増え、全体では20・6%増の1649万人となった。湘南地域では茅ケ崎海岸で33万人増えた。鎌倉を舞台とした映画「海街diary」の公開もあり、地域全体では3・7%増の5450万人となった。
丹沢・大山地域ではハイキング客の増などがけん引し、14・5%増の1385万人、三浦半島地域は三笠公園や油壺などへの観光客が増え、7・6%増の1608万人だった。
一方で箱根・湯河原地域は、大涌谷の火山活動活発化を受けて前年比13・7%減の2718万人。箱根関所・資料館は13万人減った。宿泊客は16・7%減の457万人だった。
県観光企画課は増加要因の一つとして、県内宿泊施設で使える「ふるさと旅行券」の販売が24万人相当の観光需要を喚起したとも説明している。