川崎市は建物賃借料が高騰する主要駅近辺での保育事業者の参入を促すため、事業者に対する建物賃借料補助の増額を検討する。市内一律で支給している補助額を、家賃相場を反映して地域差をつけた形に見直し、2017年度からの導入を目指す。
市内では武蔵小杉駅や溝ノ口駅、川崎駅などの交通結節点の保育需要が高いが、保育事業者が建物賃借料上昇による経費増から参入を控える傾向もあり、受け皿の確保が課題となっている。
市は地域ごとに異なる家賃相場に応じた補助制度に切り替えることで、保育需要の高い地域での整備を誘導していきたい考えだ。
市の賃借料補助は国の財源に市の財源を上乗せし、運営開始後の事業者に対する毎月の運営費補助の中で建物賃借料加算として実施している。定員60人の場合、保育所1坪(3・3平方メートル)当たりに換算すると、国の公定価格の単価約950円に市の約3340円を上乗せして約4290円を補助している。
来年度は国の公定価格の改善で1500円前後の上昇が見込まれているが、一律に補助額を引き上げずに、賃借料が高騰した地域の補助額を手厚くし、横ばいの地域は据え置くなど地域の相場を踏まえた制度にする。
市は補助制度の仕組みや地域ごとの補助額の設定などを固めた上で17年度予算案に計上し、新制度の導入後は既存の保育所への運営費補助も含めて新制度に移行させる方向で検討していく。