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夜の街いたちごっこ 川崎市の客引き防止条例1カ月

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2016年5月1日(日) 02:00

「客引き行為禁止」と書かれた横断幕が掛かる商店街を巡回する指導員ら=川崎駅東口の商店街
「客引き行為禁止」と書かれた横断幕が掛かる商店街を巡回する指導員ら=川崎駅東口の商店街

 歓楽街の強引な客引き行為を一掃しようと、川崎市が制定した客引き行為防止条例の施行から1カ月。JR川崎駅東口では指導員が巡回を続け、客引きは減った印象もある。だが罰則適用は9月からとあって、指導員が去れば酔客に声を掛けて回る店員も多く、夜の街のいたちごっこは続く。

 「条例、知ってますよ。ビラは何回ももらってます」。店頭に立つ居酒屋店員が条例内容を記したビラをにこやかに受け取った。

 市が委嘱した県警OBの指導員は現在、2班に分かれて夜間巡回、ビラを配りながら条例の周知に努めている。どの店員も店やビルの敷地内に立ち、条例が禁ずる路上での客待ちや客引きは見当たらない。

 だが、指導員がいない時間帯は様相が一変する。ゴールデンウイーク初日の4月29日夜、飲食店が集まる仲見世通り入り口付近では居酒屋店員7~8人がメニュー片手に動き回っていた。「飲み放題ならお得ですよ」と声を掛け、次々と店に客を引っ張っていた。

 別の居酒屋店員は「うちも以前は路上で客引きをしたが、ルールを守ることが店の信頼につながると考えてやめた。客の入りはだいぶ減ったが…」。ライバル店が路上で客を引く様子に焦りの色がにじむ。

 一方、路上で平然と客引きする若い店員に条例の件を問うと、「あれは9月からですよ」とうそぶいた。違反者に対し5万円以下の過料を定めた罰則は9月から施行される。現在は努力義務にとどまっていることに乗じているようだ。

 約600店舗がひしめく同駅東口では、以前からキャバレーが客を呼び込む光景はあったが、近年は居酒屋やカラオケ店による路上での客引き行為が急増。通行人へのつきまといや立ちふさがりなど年々悪質化し、市には「安心して通りを通行できない」との苦情も寄せられていた。

 市地域安全推進課の北村修課長は「駅前など一部では若干減っている感じだが、今は9月に向け条例を周知する期間。県警や商店街と連携し、地域一丸になって取り組む機運も大切にしていきたい」と強調。川崎署も「市条例に合わせ取り締まりを強化した」とし、4月中旬までの1カ月間で、風俗店8店舗の客引き8人を風営法違反容疑で摘発した。

 地元商店街もスクラムを組み、クリーンアップに向けた機運を高めている。目抜き通りに「客引き行為禁止」と書いた横断幕を複数掲げ、今後は条例を守る店に「安全安心まちづくり推進協力店」のステッカーを配布する計画だ。

 川崎駅広域商店街連合会の武藤聰宏副会長は「来街者が安心して歩ける街にしたい。この問題を放置すると街全体がおかしくなる」とした上で、「多くが自粛していくと思うが、『5万円払っても客を取れればいい』と続ける悪質店が残ると困る。9月以降は厳しく取り締まってほしい」と条例効果に期待を寄せている。

市客引き行為防止条例 風営法や県条例で規制対象外だった居酒屋やカラオケ店の客引き行為を規制する目的で4月1日に施行。市が指定した重点区域で客引き行為を繰り返した違反者に5万円以下の過料を科す。氏名や店名も公表する。市は川崎駅東口周辺を同区域に指定する方針。

 
 

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