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鎌倉市、保存コスト上乗せ 「開削根拠崩れる」

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2016年3月20日(日) 11:48

昨年4月から通行止めになっている北鎌倉トンネル=昨年2月、鎌倉市山ノ内
昨年4月から通行止めになっている北鎌倉トンネル=昨年2月、鎌倉市山ノ内

 鎌倉市が今月にも開削の着工を計画している素掘りの「北鎌倉トンネル」について、開削か保存かの費用対効果を検討する調査の過程で、市が当初10年とした維持管理期間を40年に延ばし、その間の維持費をコストに上乗せしていたことが、市民団体の情報公開請求で19日までに明らかになった。団体は「保存が不利になるよう水増ししたとも取れ、開削の正当性が崩れる」と批判している。

 JR北鎌倉駅脇にある同トンネルは「緑の洞門」の愛称があり、中世からの景観が史跡に値するとの評価もある。一方、市は岩壁の風化を理由に昨年4月から通行止めにし、今月にも開削工事に着手する方針。

 調査はトンネルの処遇の判断材料とするため、市が外部機関の日本トンネル技術協会に委託し実施した。「開削」「補強・保存」双方の安全性やコストを比較し、市は昨年8月に調査報告書を発表、トンネルを山ごと切り崩す開削を決めた。市道路課は「保存する場合も補強のため外観が不自然になるほか、安全性に不安が残る」と説明する。

 これに対し、保存と補強の両立を求める「北鎌倉緑の洞門を守る会」は、報告書作成過程の資料を入手。最終報告書の額に比べ、安い費用が想定されていたことを突き止めた。

 報告書では、保存の場合が1億200万~1億9500万円、開削が1億2800万円。一方で、同資料には保存が7200万~1億1100万円、開削が1億2200万円とあり、費用対効果では保存の方が有利だった。これは、当初10年分で算出した維持費が、報告書の段階で40年分に増額されたためだった。

 同会の出口茂代表は「金額の操作が見て取れ、開削の費用対効果の根拠が揺らぐ」と話す。また、市の外部委員などの経験がある専門家の一人は「計画はコンサルタント業者の主導がうかがえ、市の主体性が感じられない」と批判し、開削の政策決定の過程も「一部の住民に危険性を強調しただけで、公開の議論もなく1億円もの公共事業を決めてしまった」と話す。

 一方、市道路課は「報告書の維持期間を延ばした経緯は覚えていないが、一般に構造物の寿命は50年程度といわれ、長期の維持を想定するために40年分に修正した」と説明。「地元町内会からトンネルの安全対策や緊急自動車通行の確保が要請された経緯がある」と正当性を強調している。

 安全対策について、同会は「鎌倉七切通(きりどおし)」の一つ「名越切通」を保存するために逗子市が実施した補強工事を挙げ、景観維持と安全対策の両立を求める提言を最近発表した。

 
 

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