米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、沖縄基地負担軽減相を兼務する菅義偉官房長官(衆院2区)と、維新の党の江田憲司前代表(8区)が29日の衆院予算委員会で論戦を交わした。
菅氏は、名護市辺野古への移設を前提に、普天間飛行場の早期閉鎖を目指す政府方針を主導。江田氏は、1996年に普天間返還の日米合意を実現した当時の橋本龍太郎首相の政務秘書官。ともに移設問題に懸ける思いは強い。
江田氏は、政府と沖縄県が法廷闘争を繰り広げる現状を憂慮し、「橋本首相は大田昌秀知事と膝詰めで何度も話し合った。国政のトップが沖縄の本音を聴く努力をすべきだ」と求めた。
菅氏は約1カ月間、移設作業を中断して翁長雄志知事と協議した経緯を説明。普天間問題を「戦後の米軍による強制接収」と位置付ける翁長氏とは「原点が違った」と述べ、歩み寄りが困難との認識を示した。安倍晋三首相も「会えば何とかなる状況ではないが、努力して接点を見いだす」と答えるにとどめた。
江田氏は辺野古への移設を「法的権限や実力行使で進めることはできるだろうが、流血をみるような事態になれば日米同盟にも悪影響を及ぼす」と指摘。「行け行けドンドンの姿勢でなく、沖縄と真摯(しんさ)な話し合いを」と訴えた。