相模原市の加山俊夫市長は17日、2016年度当初予算案を発表した。一般会計は、子育てや高齢者福祉など扶助費が引き続き増加したことから前年度当初比で0・9%増加し、過去最大の2577億円となった。
加山市長は会見で、「厳しい状況が続いているなかでの予算編成。市民の安全・安心の確保と暮らしの充実を最優先した」と述べた。
一般会計歳入の44%を占める市税収入は、景気の回復基調などを反映して2年ぶりに増加し2・3%増の1140億円を見込む。市内の圏央道インターチェンジ(IC)開通を受け、物流倉庫や商業施設などの新設で固定資産税が約14億円増加。個人市民税も約4億円の増収となる見通し。
市債は159億円で、31・2%の大幅減。市営南台団地建設や、圏央道IC周辺の道路整備がほぼ完了したことによる建設債の減額が影響した。09年度から増え続けていた市債残高も、8年ぶりに減少に転じる見込み。
歳出は、子ども・子育て支援新制度関連や障害児者介護給付費などで、扶助費が6・3%増の797億円に膨らんだ。人事委員会の勧告に基づく給与改定や、退職者増加による退職手当の増額などで人件費は1・8%増の456億円。扶助費、人件費、公債費を合わせた義務的経費(1502億円)の割合は歳出全体の58・3%を占め、過去最大となった。
一方、JR相模原駅周辺と橋本駅周辺を一体的に開発する広域交流拠点整備については、周辺整備・調査などで計約4億円。公共施設整備などを行う投資的経費は歳出全体の4・6%となり、10年の政令市移行後、過去最低となった。
自治体の貯金に当たる財政調整基金は82億円を取り崩して残高を約69億円を見込み、これも政令市移行後最低となる。
【解説】拠点整備に強い意志
相模原市の2016年度当初予算案は、扶助費などの増大から一般会計が過去最大にふくれ上がり、あらためて厳しい市の財政構造を浮き彫りにした。一方で、将来の広域交流拠点整備につながる関連予算を確保。昨年の市長選で掲げたまちづくりの実現へ強い意志が反映されている。