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神奈川県2016年度予算案
過去最大2兆円台 一般会計、税収増で「攻めの姿勢」

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2016年2月11日(木) 02:00

県の2016年度当初予算案を説明する黒岩知事 =神奈川県庁
県の2016年度当初予算案を説明する黒岩知事 =神奈川県庁

 黒岩祐治知事は10日、2016年度当初予算案を発表した。一般会計は知事選後の本格予算(昨年6月補正後)に比べ2・3%増の2兆137億円で、初の2兆円台に達した。義務的経費の割合は依然として8割を超えるものの、税収増を追い風に政策的経費は7・0%増となる3498億円を計上した。黒岩知事は「昨年7月に策定した総合計画で掲げた施策を着実にスピーディーに実施するための予算」とし、「攻めの姿勢」を強調した。15年度2月補正予算案とともに、15日開会の県議会第1回定例会に提出する。

 知事は会見で、肝いりの「未病」対策やエネルギーのほか、県立高校改革、企業誘致策を挙げ「県の大きな施策が次々と新たなステージに入っている。『神奈川モデル創造発信予算、いざネクストステージへ』として積極的な予算を組んだ」と話した。

■歳入
 一般会計歳入の6割を占める県税は5年連続で増加し、3・7%(445億円)増の1兆2547億円を見込む。このうち個人県民税は1人当たりの所得の伸びで2・4%増。法人2税(県民税、事業税)は企業収益の増益基調などで16・3%増えた。地方交付税は45・9%増の890億円の見通し。

 借金に当たる県債の発行額は17・6%減の1966億円。このうち、国が地方交付税の財源不足を理由に交付額を減らした分を各自治体に臨時的に発行させている臨時財政対策債は33・0%減った。16年度末県債残高は2年連続で減少し、3兆5708億円となる見込み。県民1人当たりに換算すると39万1597円となる。

■歳出
 歳出では、介護・医療・児童関係費は3・9%増の3459億円で、10年前の約2倍に膨らんでいる。

 県内市町村に交付する地方消費税交付金は6・4%減の1463億円。これらと人件費などを含む義務的経費は1・4%増の1兆6638億円。歳出総額の82・6%を占め、依然として財政は硬直している。

 政策的経費は歳出の17・4%となる3498億円。16年度から本格化する総合計画を推進し、「未病」対策や企業誘致、子どもの貧困対策などに重点的に取り組む。公共事業費は5・6%増えた。


 県は同日、11億円を減額する15年度一般会計2月補正予算案を発表した。県税収入が伸び、地方交付税も見込みより増えたことに伴い、臨財債の発行を357億円減らした。

 歳出では、低金利のため公債費が59億円減。入札残などで投資的経費も108億円減った。

 国の交付金を活用して県西地域や三浦半島の活性化に取り組むほか、介護施設の前倒し整備のため、108億円を基金に積み増す。

 県議会第1回定例会には予算案のほか、スポーツ局の設置などに伴い職員定数を変更する改正条例案など計95議案を提出する。

「神奈川モデル創造発信」知事

 黒岩祐治知事は10日の予算案発表会見で、2兆円を初めて超えた一般会計予算案を「県の大きな施策が次々とネクストステージに入る。攻めの姿勢を打ち出した『神奈川モデル創造発信予算』だ」と命名した。

 就任以来、知事は「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向け、未病施策やエネルギーの地産地消、ロボットの共生などに取り組み、神奈川モデルの構築を目指してきた。「この取り組みをさらに発展させて、世界に神奈川モデルとして発信したい」とした上で、「厳しい状況でも思いを反映できた予算で、90点はつけられる」と満足感を示した。

 2019年ラグビーワールドカップや20年東京五輪・パラリンピックも間近に迫ることから、「この機を捉え、神奈川の魅力を発信し、全庁一丸となって経済のエンジンを回していく」と意気込んだ。

 県税収入が増えた半面、地方交付税・臨時財政対策債の減少などで厳しい予算編成となった点には「基本的な地方税の構図の問題を変えないと、100点とはいかない」と、地方財政制度の問題点をあらためて指摘していた。

財政硬直化 続く綱渡り


【解説】
 黒岩祐治知事が再選を果たして最初の2016年度予算案は、過去最大規模の積極的な編成となった。未病関連施策など知事の「公約」を含む総合計画の推進を強く打ち出したのが特徴だ。ただ、景気回復で税収が増したものの収支不足を補うのに苦心して仕上げた厳しい編成でもある。

 政策的経費が前年度より228億円増加していることが、知事の意気込みを示す。16年度が総合計画第2期実施計画の事実上のスタートに当たるため、未病施策などのヘルスケア・ニューフロンティアや観光振興、エネルギー施策に重点投資するなど「黒岩カラー」を出した上で、県立高校改革や防災、貧困対策などにも目配りしバランスを考慮した。黒岩知事は「厳しい状況で自分の思いを反映した予算だ。90点はつけられる」と胸を張った。

 ただ、税収が増えても、国からの地方交付税・臨時財政対策債が減る構造的な問題があるなか、770億円の収支不足を、事業の見直しや見込みを上回った15年度の県税収入などで賄う「綱渡り」の予算編成は依然続く。介護・医療・児童関係費や公債費などが年々増加し、義務的経費の割合は82・6%。ここ数年は80%以上と高い水準で推移し、財政の硬直化が常態化する。

 今後、さらに進展する高齢化への対応や公共施設の老朽化対策に加え、東京五輪・パラリンピックやラグビーワールドカップ開催に向けた臨時的な費用もかさむだろう。中長期の収支見通しを示した上で、さらなる安定的な財源確保や財政健全化に取り組むことも欠かせない。

16年度の主な事業

■障害者支援施策の推進 (564億8486万円)
=障害福祉サービス費を市町村に交付するほか、障害者差別解消法の4月施行に伴い、事例集作成やフォーラムを開催。手話普及も推進する
■新たな企業誘致施策 (1億6545万円)
=「セレクト神奈川100」として「未病」や観光といった市場拡大が見込まれる産業の企業を誘致、経済活性化と雇用創出を図る
■「マグネット・カルチャー」の推進 (2月補正含め8千万円)
=ミュージカルを中心に魅力的な文化コンテンツ創出と担い手の育成を行う
■箱根山火山災害対策 (6320万円)
=箱根山の監視体制を強化、噴火を想定した訓練を実施
■「未病女子」対策 (1245万円)
=女性の活躍を支援するため、若い女性の健康問題に関する知識の普及、改善に向けた情報提供を行う
■スマート水素ステーションの導入 (1億6254万円)
=簡易型の水素ステーションを導入し、再生可能エネルギーで製造した水素を利用し、製造段階から二酸化炭素を排出しない水素を利活用するモデル事業を創出、普及啓発を行う
■外国人観光客の誘致促進 (1億1264万円)
=インバウンドツアーの商品化を行う。パンフレットや現地メディアを活用した情報発信、近隣都県と連携したプロモーションなどを実施
■小規模保育事業所の整備 (10億9855万円)
=待機児童解消のため、小規模保育事業所の新設や賃貸物件改修などを支援する市町村に補助
■県立高校改革の推進 (20億9939万円)
=生徒の英語力向上やインクルーシブ教育の推進、県立高校の再編・統合などに取り組む
■19年ラグビーワールドカップ、東京五輪・パラリンピックに向けた取り組み (2月補正含め3億1776万円)
=体験イベントやPR動画の放映、五輪セーリング競技の会場整備などの準備を進める
■「人生100歳時代の設計図」推進 (1千万円)
=超高齢社会の生活、社会モデルを示すため、有識者会議による検討やシンポジウムを開催

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