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人口ビジョン案、県が目標 50年の出生率2・07

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2016年1月19日(火) 02:00

県は県内人口の推計や将来目標を示した「県人口ビジョン」の素案をまとめた=写真は県庁
県は県内人口の推計や将来目標を示した「県人口ビジョン」の素案をまとめた=写真は県庁

 県は県内人口の推計や将来目標を示した「県人口ビジョン」の素案をまとめた。現状のまま人口の減少や高齢化が進めば、経済の縮小や医療、介護需要の急増により社会システムが崩壊する可能性があると指摘。2050年に合計特殊出生率を、将来にわたり人口が減少しないとされる「2・07」まで引き上げることを目標に掲げた。

 県の総合計画の推計では、県内人口は18年の913万人をピークに減少に転じ、50年に811万人になるとしている。1990年とほぼ同水準だが、高齢化率が27・5ポイント増の36・4%となり、年齢の構成は大きく変わる。

 この影響で、人口ビジョン素案では、所得減や社会保障費の増大で自治体財政が打撃を受け、「地域社会の維持が困難となるおそれがある」などと分析。(1)合計特殊出生率向上、(2)国内外からヒト・モノ・カネを引きつける力の向上、(3)「未病」の取り組みによる健康長寿社会の実現-の三つのビジョンを掲げた。

 実現すれば、2060年の県内人口は従来推計を約74万人上回る833万人になり、高齢化率も3・6ポイント低い32・9%にとどまるとした。黒岩祐治知事は「若者の経済的基盤の確保や子育てと仕事が両立できる環境づくりなど、取れる施策を総動員し、出生率を引き上げていきたい」と述べた。

 人口ビジョンは地方版総合戦略と合わせ、「地方創生」を進める国が自治体に策定を求めている。県の人口ビジョン素案は、今後5年間の具体策を盛り込んだ「県まち・ひと・しごと創生総合戦略」素案と合わせ、有識者らによる県地方創生推進会議での議論を経てまとめた。


実現へ高いハードル

解説
 県の掲げた出生率の目標達成は、現実からすれば極めて道のりが厳しいといえる。神奈川の2014年の合計特殊出生率は1・31。全国平均の1・42を0・11ポイント下回る低水準だ。

 今回の目標値は「2060年に1億人程度の人口を確保する」とする国が長期ビジョンで示した「40年に2・07程度」を意識した形だ。出生率は0・1ポイント上げるのに数年はかかるとされる。県は過去の推移も踏まえて国から10年遅らせた達成時期を設定したが、黒岩祐治知事も「かなりハードルが高いことは間違いない」と認める。

 神奈川では結婚や出産の希望がかなった場合の希望出生率も、1・42と低い。算定の基礎となる結婚希望者の割合や夫婦の予定子ども数などで全国の水準を下回っており、結婚や出産、子育てに対する理想自体が低いのが特徴だ。若者の雇用環境の改善や子育て支援、仕事と子育ての両立など、希望を持ちやすくする環境の整備が目標達成に欠かせない。

 
 

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