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副教材
18歳選挙権(4)教員ら活用法を模索

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2016年1月5日(火) 10:05

副教材の活用について意見を交わしたワークショップ=昨年12月、都内
副教材の活用について意見を交わしたワークショップ=昨年12月、都内

 長野県立赤穂高校の春日雅博教諭(55)は突然送られてきた副教材を手に取り、戸惑いを禁じ得なかった。B5判、104ページ。主権者教育に役立ててもらおうと文部科学省と総務省が昨年9月に作成したものだ。「どう使えばいいのか…」。答えを求めて昨年12月、都内に足を運んだ。

 「執筆メンバーにきく! 主権者教育の副教材をどう活用するか?」と題したワークショップ。「日本シティズンシップ教育フォーラム」が主催したもので、高校教諭のほか地域の活動団体のメンバーや地方議員ら計10人が集まった。

 副教材は、選挙の仕組みや若者の低投票率などの現状について説明する「解説編」、投票を体験する模擬選挙や地域課題の解決を探る模擬議会などの具体的な方法を示した「実践編」などで構成される。参加者は内容を確認しながら、副教材の作成に携わった神奈川県立湘南台高校の黒崎洋介教諭(28)らと意見を交わし、理解を深めた。

 黒崎教諭は「シチズンシップ教育は公民科の延長線上ではない。全ての教育活動が将来の主権者、良き市民づくりに集約される」と指摘。副教材の活用について「すべての教員が指導のガイドラインとして活用し、生徒の資質や能力を培う授業づくりができる」と利点を挙げた。

 赤穂高で模擬投票を担当してきた春日教諭は「今まで一人でやるか、前任者と協力するくらいだったが、他にも協力を呼び掛けて取り組んでいきたい。地域課題の解決策を探る授業なら、生徒も実感を持って政治について考えられると思う」と話していた。

 「学校に任せっきりにならずに地域で協力できることもあるはず」。そう話すのは藤沢市を拠点とし、市民団体の活動を支援している「ソーシャルコーディネートかながわ」の藤枝香織副理事長(45)。ワークショップに参加した一人だ。

 ワークショップでは地域の協力についても話し合われた。若者の政治参加を促すNPO法人「Youth Create(ユースクリエイト)」(東京都中野区)の原田謙介代表(29)は高校での出前授業や若者と地方議員との交流イベントなどの取り組みを報告し、「政治に正面から切り込むのではなく、身近なこと、関心のあることを政治に結び付けることが重要」とアドバイスした。

 地方議員の協力も必要と説く。「議員の活動を知ることが政治に関心を持つきっかけになるので、学校などに積極的に出てきて、分かりやすい言葉で伝える努力をしてほしい。議員にも意識を変えてもらいたい」

 藤枝さんは早くも新たな活動のイメージを膨らませている。「高校生に農家など現場の人たちの声を聞く場を提供し、農政について考えてもらうこともできる。地域と学校の橋渡し役になれれば」

 学校、地域、議会。副教材を活用した三位一体の取り組みが求められている。

 
 
 

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