毎年延べ3万人前後のボートやカヌー愛好家に利用されている横浜市鶴見川漕艇(そうてい)場(鶴見区)が、6月から利用を中止している。艇の発着場である台船の一部に腐食が見つかり、安全性を保てなくなったためだ。利用者から早期再開を望む声が出る中、市は補修工事を行い、来年4月の再開を目指す。
市スポーツ振興課などによると、同漕艇場は1988年にオープン。アマチュアの愛好家に親しまれ、500人以上が参加し年4回開く市民大会など、イベントも定期的に開催されている。
同漕艇場の職員が今年3月、台船を支える4本のくいのうち1本が老朽化で腐食しているのを発見。その後、残りのくいも全て腐食していることが分かり、6月22日から乗艇の利用を取りやめた。大会だけでなく、市体育協会が主催する子ども向け教室も中断している。
利用者からは理解を示しつつも早期再開を訴える声が上がる。NPO法人横浜市ボート協会によると、同漕艇場は都心部から近く関東近県からの利用も多い。利用中止後は、県内の相模湖や宮ケ瀬湖のほか、埼玉県戸田市まで足を延ばして練習する人もいるという。
同協会の鈴木信太郎会長は「遠方まで行くのは時間もお金もかかる。鶴見では来年4月に大会も予定している。参加者が練習できるように、もう少し早く再開してもらいたい」と要望している。
市によると、くいの補修は15年ぶり。水中でくいの一部を交換する予定だが、具体的な工法などは今後詰めるという。同課の施設緊急補修費から賄うため、新たな予算措置は行わない。市は「安全に利用してもらえるよう着実に工事を行い、一刻も早い利用再開を目指す」としている。