「新基地建設か普天間の固定化か、という二者択一自体に公平性はあるのか」-。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題で、翁長雄志沖縄県知事に対する行政訴訟を起こした国に17日、沖縄国際大学大学院の前泊博盛教授が異論を呈した。
琉球新報社で在日米軍基地や日米地位協定について長く取材してきた前泊氏は同日、国会内で講演し「『どちらを取るか』と選択を迫るのが安倍政権のレトリックだ。そもそも(普天間を)廃止するはずだったのに移設条件が付いた」と指摘し、「政策的な選択を迫られたとき、実際にはどうなのか見抜かないといけない」と述べ、沖縄に米軍基地が集中する現状へ疑問を投げ掛けた。
前泊氏は、多岐にわたる米軍人への優遇措置や後を絶たない犯罪、米空軍横田基地の管制官がレーダーで航空機に対して行う交通管制「横田ラプコン」などを例に挙げ「地位協定はまさに、日本が不完全な主権国家であることを名実ともに示す資料だ」と批判。その上で「国民が主権者であることを自覚し、官僚任せにしない安全保障体制をつくる必要がある」と呼び掛けた。
斎藤勁元官房副長官が代表理事を務める一般社団法人「勁草(けいそう)塾」が、戦後70年企画として「日米関係の在り方と日米地位協定」をテーマに開催。国会議員や学生など約120人が耳を傾けた。神奈川新聞社などの後援。