人口減少問題について県内の現職首長らが議論するシンポジウム「人口減少社会と自治体」(関東学院大主催)が28日、横浜市中区のワークピア横浜で開かれた。日本創成会議が昨年に発表した報告で、全国896自治体が2040年までに消滅すると指摘されたことを受け、人口減少問題に向けた対応策を探った。
シンポでは、国立社会保障・人口問題研究所の森田朗所長が基調講演。「従来の発想は捨て、新しい社会の仕組みをゼロベースで考えないと。右肩下がりを前提にしたダウンサイジングが必要」と訴えた。
開成町長時代に人口増につながる施策を展開した露木順一氏は、古民家再生や小学校新設の実例を紹介。「古いものと新しいものを融合してイノベーションを起こした。長期ビジョンと行政のリーダーシップを持った上で、住民に参画してもらうことが必要」と述べた。
パネルディスカッションでは、小田原市の加藤憲一市長と、現在人口増が続く川崎市の福田紀彦市長を招いた。加藤市長は、市人口が年間約千人のペースで減少している現状や、空き家バンクなど定住促進に向けた取り組みを紹介。「人口減少は不可避。むしろ適正な規模に向かっていると考えれば違った景色が見えてくる」と述べ、地域コミュニティーの重要性を説いた。
福田市長は、隣接する横浜市と連携した待機児童対策などを挙げ、「当たり前のことを変えていくことが大切」と強調。さらに「一つの自治体としても日本全国のことを考えないといけない。例えば(川崎市民が)週末を小田原で過ごすライフスタイルを提案するなど、地域の競争よりも連携を進めることが地方創生につながる」と語った。