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異例の審議4日間 給食センター契約議案可決 行財政運営絡み混迷

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2015年10月15日(木) 03:00

 川崎市議会は14日、本会議を開き、市が中学校完全給食実施に向けて新設する「(仮称)南部学校給食センター」(幸区)の整備・運営に関わる契約議案を可決した。本来もめるはずもない契約議案だったが、委員会審議は4日間にわたり、7項目に及ぶ付帯決議を付けるという異例の展開に。センター方式による給食実施に350億円近くの負担が生じるため、今後の市政全般の行財政運営まで議論の的となった。

 中学校完全給食は2013年に初当選した福田紀彦市長の公約の一つ。市は北部、中部、南部の3カ所に民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式で整備する給食センターから給食を配送し、17年度中に全市で実施する予定を公表している。

 今回の議案は、南部センターに関し、東洋食品グループが設立した特別目的会社と約154億円で契約し、17年9月に運営を開始する内容。中部、北部の契約は12月議会に提出し、15年間の3センター合計で約347億円を見込む。


■大規模事業控え
 当初は、市議会が昨年12月に3センター事業の限度額(356億円)を定める債務負担行為を議決している経緯もあり、「もめる類いの議案ではなかった」(ベテラン市議)。

 ところが自民、公明、民主みらいは総務委員会で、市庁舎建て替えや羽田連絡道建設、国道357号延伸など大規模事業がこれから相次ぐことと絡め、「財政見通しや行政改革の方針が示されなければ、センター議案の賛否だけを判断できない」「市側は説明不足」と厳しい姿勢で臨んだ。

 主要会派は、市が総合計画策定に伴い11月中旬に公表する将来の財政収支見通しを前倒しして示すよう要求。これに対し、市側は「作業上難しい」とし、現在の推計で理解を求めた。

 9日には砂田慎治副市長が出席し、「給食は市の市民との約束。優先的、確実に財源を確保する」「現段階で予測できる財政見通しを資料で示している」と重ねて理解を求めた。しかし各会派は納得せず、連休を挟んで13日も審議した。


■開始遅れは回避
 その一方で、議案を継続審査にして12月の定例会まで持ち越せば、工期短縮は困難とする事業者が契約に応じず、再入札で給食開始が大幅に遅れることも判明。市議会は11年に早期の給食実施を求めて決議しており、そもそも「給食が遅れる事態は避けたい」という思いが大半だった。議案の裁決に対する選択肢は限られていった。

 「多大な投資で他の事業に及ぼす影響も大きい。将来の不安が拭えたわけではないが、市民生活に与える影響を考慮し、条件つきで賛成する」(自民市議)。13日の総務委員会では付帯決議を付けて全会一致で可決。付帯決議は、給食実施による後年度負担に適切に対応し、財政計画に基づく市政運営を行うこと-など、七つの項目を市側に求めたが、「4日間の厳しい審議から見ると議会側の後退感が拭えない決着」(ベテラン市議)だった。

 福田市長は本会議終了後、記者団に感想を述べた。「市民との約束である中学校給食を17年度に実施できる議決をいただき、良かった。当然ながら長期フレームの中で大規模事業も含めた適切な財政運営はしっかり行っていく」

 
 
 

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