
返還された米軍上瀬谷通信施設跡地(横浜市瀬谷、旭区、約242ヘクタール)で、国が国際的な花の祭典「国際園芸博覧会」の開催を検討していることが2日、明らかになった。2016年度予算案に調査費を計上する見通し。横浜経済の活性化や跡地利用の促進につなげる考えだ。
関係者によると、7月に和泉洋人首相補佐官が同跡地を視察。26年以降の早期開催を目指しており、会期は半年という。
同博覧会は、国際園芸家協会(オランダ)の承認の下、園芸技術向上などを目的に世界各地で開催されており、期間や規模で4種別(A1、A2、B1、B2)に分けられる。
今回、開催を検討しているのは1990年に大阪で開かれた「国際花と緑の博覧会」(大阪花博)と同じA1クラス。大阪花博は「鶴見緑地」(約140ヘクタール)を会場に183日間開催され、83カ国・55国際機関が参加。約2313万人が入場した。
国内では2000年に淡路花博(兵庫県)、04年に浜名湖花博(静岡県)が開催されているが、A1クラスは大阪花博だけという。
同通信施設跡地をめぐっては、市が地元意向調査を行うなどして跡地利用の方向性を検討している最中。跡地利用には基盤整備などが必要となることから、市会がことし1月に「国レベルのイベント開催」などを政府に要望していた。
花博開催により相当数の集客や経済効果、世界的な知名度の向上が見込まれるほか、開催に伴う基盤整備が後の跡地利用にも役立つとの狙いがある。関係者は「暫定的な土地利用の手法としては、有力な選択肢の一つではないか」との見方を示している。
同通信施設は、終戦直後に国有地と民有地などを米軍が接収し通信基地として利用。近年は事実上遊休化していたが、ことし6月に日本に返還された。