
今国会最大の焦点の安全保障関連法案は17日、与党などの賛成多数で参院特別委員会を通過した。採決時は委員長席を与野党議員が取り囲み、怒号と悲鳴が入り乱れる中での決着。委員会室では県内議員も攻防を展開し、約2カ月前の衆院採決と寸分違わぬ光景が繰り返された。法案可決に遮二無二進む与党議員は「熟議の上だ。決めるときは決める」。民意を背に廃案を訴える野党議員は「まだ終わっていない。成立は何が何でも許さない」。緊迫の攻防は、最終局面に突入した。
「暴力はやめろ」。鴻池祥肇委員長の議事進行をサポートする与党議員がそう声を張り上げれば、「良識の府が泣くぞ」と悲憤し、阻止しようとする野党議員。委員長の声がかき消された採決は騒然とした雰囲気で敢行され、傍聴人はただ、ぼうぜんと見守った。
採決後、委員会室から引き上げてきた自民党の島村大氏(参院神奈川選挙区)は「どこまで話し合っても反対勢力が賛成に変わるわけではない。『決めるときは決める』と言い続けてきた。そのときが来たということだ」。同党の三原じゅん子氏(比例)も「衆参両院で100時間の議論を重ねた。日本を取り巻く国際情勢の変化を考えれば、必要な法案」と採決の正当性を訴えた。
国会関与の強化で政府与党と合意し、野党ながら賛成した、日本を元気にする会の井上義行氏(同)は「反対だけの野党では、政府案をより良くすることは勝ち取れない。少数政党だが、反対一辺倒の野党より存在感を示すことができた」と主張。混乱の採決を「合意形成を重んじる先進国の議事風景とは思えない」と突き放した。
「国民の声を聞け」「違憲立法は廃案しかない」。野党議員は「強行採決」と反発を強めた。16日夕から「怒れる女性議員の会」と書かれたピンク色のはちまき姿でピケ戦術の最前線に立ち続けた社民党の福島瑞穂氏(同)は「憲法に対するクーデターは許さない。戦争法案の問題点は広く知れ渡っている」と強調。締めくくり質疑すら行わない議事運営に「国民の声を恐れている証拠。法案に対する自信のなさの表れだ」と指弾した。
採決阻止に身をていした民主党の牧山弘恵氏(神奈川選挙区)も委員会通過を「認めたくない」と無念の表情。「公聴会では女性の声を聞いていない。命を守るため、最後の最後まで頑張る」とまなじりを決した。