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安保法案、広がる反旗

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2015年6月30日(火) 03:00

 今国会で最大の焦点になっている安全保障関連法案をめぐり、地方議会から「待った」をかける動きが県内で相次いでいる。憲法9条の理念に反するとして「廃案」を求めたり、平和主義の大転換として「丁寧かつ十分な審議」の必要性を訴えたりする意見書を複数の議会が可決。集団的自衛権行使容認の閣議決定から1年、広がりをみせる「違憲」との指摘に同調する声が民主主義の足元からも噴出している。

 「戦後70年続いた平和への願いを踏みにじり、日本をどこへ導こうというのか」。26日、葉山町議会の本会議。安保法案の廃案を求める意見書への賛成討論に立った女性町議は、大半の憲法学者による「違憲」との指摘を引き、法案を押し通そうとする安倍政権を批判した。議場からは拍手が送られ、県内の地方議会で初めて「ノー」の姿勢を明確に示した。

 与党が衆院の3分の2、参院の過半数を占める国政と似たように、自公が一定の勢力を保つ地方議会では、安保法案反対の声がかき消されるケースも多い。しかし、反対まで踏み込まずとも法案は平和主義の大転換を意味するとして、政府に「慎重審議」を求める意見は一定の支持を得ている。

 平塚市議会は25日、自民系会派も賛成し、国会での丁寧かつ十分な審議を求める意見書を可決した。共産市議が紹介した安保体制を見直さないよう求める意見書提出の請願は不採択としたが、「安保法案が分からないという国民の声があることを念頭に市議会としての意思表示が必要」と民主系会派が提案。自民系会派も「党も丁寧かつ十分な審議をすると言っている。賛成するのは当たり前」と同調した。

 「先の戦争に対する反省と教訓から戦後歩んできた平和国家の歯止めをなくすことは容認できない」と、今国会での成立を急がず慎重審議を求めた中井町議会も、保守系の一部が意見書の取りまとめに動いた。

 開会中の定例会で議会の意見を示す動きは、まだ続いている。ある市議会は「法案の撤回」を求める意見書を、別の市議会も「今国会での成立にこだわらず」といった文言を盛り込み「穏やかな内容」で慎重審議を求める意見書の提出を目指している。各議会に「法案策定中止」を要請して回っている労働組合関係者も「採択されるためならば、慎重審議でも構わない」と切実感を込めて話す。

 憲法学者や「法の番人」である歴代の内閣法制局長官が「違憲」とし、国民からは「理解できない」との声が広がりをみせる安保法案の審議。平塚市議の一人は言う。「もはや国政の問題は国でやればいい、という話ではない」

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