◇1900万円が時効に
海老名市は17日、下水道使用料に関わる徴収ミスがあったと発表した。現時点で判明したのは総額約3122万円。市は過去10年間にさかのぼってミスの有無を確認、原因を究明するという。相模原市で下水道使用料の多額徴収漏れが明らかになったことを受け、継続中の調査状況を中間的に公表することにした。
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市によると、下水道課の職員が6月2日、下水道使用料に関連する書類を点検していて不備を発見、緊急調査を進める過程で徴収漏れが相次いで見つかった。
17日現在で判明したミスは、(1)事業所の減水処理の廃止を忘れて約3100万円少なく徴収(2)下水道接続の手続きの遅れによって2014年度に97世帯分約22万円が未請求-だった。
このうち、(1)の案件は、市内の大手事業所が下水処理を自前の浄化槽から公共下水道に切り替えたが、市側が適切な指導をしなかったために変更手続きが行われなかったのが主な原因とみられる。
その結果、03年12月から14年3月までの間、誤った減額請求が続いた。遡及請求の時効が5年のため、約3100万円の約6割、約1900万円が徴収不能になった。
このケースでは職員が14年3月の段階でミスを把握、同4月から正規の手続きに是正した。しかし、遡及請求を行わずに放置したため、時効額が約400万円増えてしまったことも判明。(1)の案件では、もう1事業所でも徴収漏れ金額を精査している。
一方、(2)の案件では14年7月から15年3月までの間、新築により公共下水道の接続届を受け付けた職員が、多忙などを理由に適切な事務処理を怠ったため、徴収の開始が最大4カ月遅れたという。
また、相模原市のケースでは下水道整備費の一部を土地所有者が負担する受益者負担金、生活保護世帯への使用料減免について徴収ミスがあったことから追加した調査も実施する。
加藤豊彦副市長は「ミスの原因究明は退職者を含めて関係者から事情を聴いて調べている。重大な過失や職務怠慢が認められれば厳正に処分する。損失額の補填についても検討する」と話している。
市は、関係書類が保存されている過去10年分について総点検を実施して今月末までに最終的な調査結果を公表する予定。