
統一地方選が幕を下ろし、民主党が党勢低迷のぬかるみから脱せずにいる。「着実に取れるところを取る」(県連幹部)と、公認候補を絞り込んで手堅い戦いを展開したが、積極擁立した自民党や躍進した共産党に比べ存在感は薄い。県連には「一定の成果を挙げた」との見方がある一方、「党勢拡大につながるか疑問」との懸念も漏れ、来夏の参院選に向けて野党第1党の気概を問う声も上がる。
「神奈川では党勢回復の第一歩を踏み出せた」-。金子洋一県連代表はこう述べ、統一選を肯定的に総括。滝田孝徳県連幹事長も大阪市議選で民主候補が全滅した情勢などを踏まえ、「神奈川では着実に取れるところを取った。『弱気だ』との声もあったが、擁立方針はおおむね正しかった」と前を向いた。
公認ベースで民主は今回、県議、3政令市議選に75人を擁立。政権与党だった前回(114人)に比べ、3分の2に絞った計算だ。立候補者に占める当選者の割合は約75%(前回比約15ポイント増)に上り、堅実な戦いぶりを物語る。
だが、当選者数は前回より13人少ない56人。県議は告示前より3増したが、川崎は現状維持、横浜・相模原では議席を減らした。
一般市議選も同様の傾向で、擁立は前回の21人に対し、10人止まり。藤沢で1人が落選した以外は議席を確保したが、当選者数は前回より4人減った。
堅実な一方で、候補を絞ったために「縮小」する戦いぶりには苦言も出る。見え隠れするのは、前回同様の積極擁立に出れば「共倒れ続出もあり得る」(県連幹部)との危機感だ。
県議選で惜敗したベテランは、自民の積極擁立の姿勢を引き合いに、「手堅いと言えば聞こえはいいが、勝ち負けで言えば負けだ」。議席を守った若手県議も「目先ばかりにとらわれていないか。自共が目立ち、民主の存在が見えにくくなっている」と憂う。
「候補は絞ったと言うより、党勢低迷で集まらないのが実態だろう」。維新の党の県幹部はそう皮肉った。
党執行部は今回の統一選を来夏の参院選を見据えた「党立て直しの第一歩」と位置付けた。が、岡田克也代表は目の病が癒えず、十分な活動はできなかった。41道府県議選での獲得議席は264にとどまり、総定数の過半数1153を得た自民との差は歴然だ。27日、枝野幸男幹事長は「ぎりぎり何とか、土俵際で歯を食いしばっている」との現状認識を示した。
県内では小選挙区総支部長が不在の地域で苦戦を強いられたとの指摘もあり、「問題の根源」(若手県議)として、早期選定を求める声が強い。一方で、あるベテランは「もはや、民主単独で自民とは戦えない」と、維新をはじめとした野党再編の必要性を説く。
総支部長がいない空白区は、野党再編の駆け引き材料となりやすく、支援組織・連合神奈川の幹部は「党本部は再編にらみで選定に力が入らない」と見透かす。
自主再建を自任する岡田代表は言う。「党が再生できたと思っている人はいない。都市部、若者、女性をターゲットにもう一度再構築していく」