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神奈川県知事選:検証 黒岩流〈7〉戦略的広報 「伝わる」PRに腐心

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2015年2月28日(土) 03:00

大ヒットしたAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」神奈川県バージョンの一コマ。視聴回数は今も増え続け、416万回に上る
大ヒットしたAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」神奈川県バージョンの一コマ。視聴回数は今も増え続け、416万回に上る

「ダンシング・ガバナー(踊る知事)の動画が大ヒット」-。2013年11月、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルに見出しが躍った。

その1カ月ほど前に動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」神奈川県バージョン。知事の黒岩祐治が軽快なダンスを披露したことも話題となり、再生回数はわずか2週間で220万回。メディア出身の黒岩さえ、「とんでもないことが起きている」と驚かされた出来事だった。

黒岩は就任以来、庁内に「県民に『伝える』のではなく、『伝わる』ことを心掛けて」と呼び掛けてきた。非常勤のグラフィックデザイナーを採用してチラシを作り、管理職員向けマスコミ対応研修を取り入れるなど工夫を凝らした。

それでも「910万人もいる県民に伝えるのは容易ではない」と決定力不足を感じていた。そのさなかの「恋チュン」。これまでにない広がりに「新しいメディアをうまく使うことが必要」と痛感し、PR動画の積極活用にかじを切った。

■ ■ ■

14年度には知事直轄で情報発信する「戦略的広報」(予算額5千万円)を打ち出し、積極的なネット配信を始めた。ここで登場したのがオリジナルアニメ「かなかなかぞく」だ。広報紙「県のたより」では情報を伝え切れていないとされる20~40代をターゲットにした試みだった。若者に人気のアニメ「秘密結社 鷹の爪」などを手掛ける制作会社に委託し、軽いタッチで県の重点施策を紹介した。

さらに県の看板施策「ヘルスケア・ニューフロンティア」や、海の魅力を伝える「かながわシープロジェクト」を紹介する動画も次々に制作した。

だが、「かなかなかぞく」は再生回数は多くても6千回程度。ヒット作はなかなか生まれない。昨年7月には、世界中で3億6千万回以上視聴された米国ミュージシャンの大ヒット動画「ハッピー」の県バージョンを企画したが、県民も参加した撮影後に高額な著作権料が判明し、曲使用を断念する失敗もあった。

日頃からタブレット端末で動画の“視聴率”を気に掛ける黒岩。今年の仕事始め式では「かなかなかぞく」の再生回数に触れ、「職員全員が見ていない。当事者意識がない」と、いら立ちさえみせた。

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議会側も厳しい目を向けている。昨年12月の県議会本会議では、県友会県議が「動画PRの取り組みの必要性は理解するが、十分な費用対効果が発揮されていない」と、3千万円を投じた「かなかなかぞく」に苦言を呈した。

その根底には、「戦略的広報」に力を入れた14年度の予算編成時と緊急財政対策とのタイミングが重なっていたこともある。

当時、2年間で1600億円の財源不足解消のため、全庁で県単独補助金の見直しに着手。福祉施設の運営費やケアハウスのサービス提供費補助など福祉関係予算さえ細かく見直され、「県民に我慢を強いることもあった」(ベテラン議員)。黒岩の思い切った予算付けへの風当たりは、新戦略を打ち出した当初から強かった。

「アニメキャラクターなど外形的な部分で多くの予算が使われ不安になったが、戦略的広報自体は必要だ」。公明党県議はこう指摘した上で、注文を付けた。「三つの特区でついた種火を炎にしていくために、企業や投資家を呼び込むようなものにしてほしい」

=敬称略

◆緊急財政対策 2013~14年度で1600億円の財源不足が予測され、県は知事を本部長とする緊急財政対策本部を設置。外部有識者調査会の提言を受け、聖域を設けないゼロベースで見直し、12年度を含めた3年間で1495億円の財源を確保した。内訳は人件費の抑制(746億円)、施策・事業の見直し(280億円)、県有財産の有効活用(321億円)、県単独補助金の見直し(75億円)など。

【神奈川新聞】

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