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神奈川県知事選:検証 黒岩流〈2〉ビジョン 県行政の枠を超えて

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2015年2月21日(土) 12:00

訪米しスタンフォード大学で講演する黒岩知事。ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みなど知事が掲げるビジョンを説明した=2014年5月(県提供)
訪米しスタンフォード大学で講演する黒岩知事。ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みなど知事が掲げるビジョンを説明した=2014年5月(県提供)

「ヘルスケア・ニューフロンティア、これだ!」。知事の黒岩祐治の頭に看板政策のネーミングがひらめいたのは2013年5月、訪米帰りの機内だった。

最先端の医療技術の追求や未病を治す取り組みで県民の健康長寿化を図る-。思い描く医療・健康政策をハーバード大学や米国立衛生研究所などで話したところ反応が良く、「国際的にも通用する概念なんだ」と手応えを感じた。海外でも通る名称を、と考え、ケネディ大統領が唱えたニューフロンティア精神にも着想を得た。

「新プロジェクト、ヘルスケア・ニューフロンティアを提案する。これにより超高齢社会を乗り越える神奈川モデルをつくり、日本、世界を引っ張っていく」。県議会本会議で宣言したのはわずか1カ月後。政策体系を煮詰めるより先に「大風呂敷」とも言えるビジョンを大まじめにぶち上げるのが黒岩流だった。

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黒岩は、経済人との内輪の懇親で「自分がやっているのは空中戦だ」と語っていたりもする。旗振り役に徹するのは、訳がある。

キャスターとして長年務めた報道番組でこだわったテーマの一つが「リーダー像」。各界からゲストを呼び、インタビューを重ねた。そこで得たのは「だれが何を言おうと、旗を決めたら確信的に振り続けられる人こそがリーダー」(黒岩知事)という結論だ。

「旗はでかいが、成果が乏しい」との県議会から厳しい評価もあるが、むしろ知事周辺は「マニフェストはもう古い。知事は中長期的に価値を創造していく『ビジョナリー・リーダー』だ」と持ち上げる。

そんな壮大な黒岩ビジョンの施策化に汗する県の幹部らは、元大蔵官僚で行財政を熟知した実務型の岡崎洋知事(1995年から2期)の時に経験を積んだ“岡崎世代”でもある。

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財政再建の手腕や全国初のPFI(民間資金活用による社会資本整備)導入などで示した先見性、そして堅実な人間性。かつてのトップを懐かしく語る幹部も少なくない。岡崎は著書に書いている。

「首長がリーダーたり得るか、ドン・キホーテ、ピエロに堕してしまうかの岐路は、緻密な情報解析で、掲げた目標と政策遂行プロセスの妥当性チェックを絶えず行っているかにある」

構想さえ見えてこないメディカルスクール、お薬手帳電子化実験に尻すぼみになったマイカルテ、県職員でさえ参加が広がらないCHO(健康管理最高責任者)構想…。黒岩が県行政の枠を超えた「大きな目標」を打ち出したものの、ゴールへの「プロセス」が心もとない看板施策は少なくない。

「県は政令市を三つも抱え、権限がないことも多い。横浜のように大学の医学部もない。財政上の制約もある。医療の規制緩和は一足飛びに進まないし、どうしても時間はかかる」。霞が関から登用され、黒岩県政のスタート期を支えた前保健福祉局長の菊池善信は総務官僚らしい視点で語る。その上で「でも知事は三つの特区を取るなど相当がんばっている」と擁護するが、岡崎世代の一人はこう打ち明ける。

「県、市町村、国の中で、県の役割として何をどうやるかまでは知事のビジョンにない気がする」

=敬称略

◆ヘルスケア・ニューフロンティア 超高齢社会に備えて黒岩知事が打ち出した神奈川独自の構想。国家戦略特区の規制緩和などを活用した「最先端医療・最新技術の追求」と、食のあり方や生活習慣を見直して病気直前状態の「未病」を治す健康長寿化を融合させ、新たな医療・ヘルスケア産業の創出と、健康寿命日本一を同時に目指す取り組み。

【神奈川新聞】

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