民主党の新体制が始動した。約10年ぶりに返り咲いた岡田克也代表は政権奪還を目指す党に再生させるとして、党再建へのプランを策定、実行する「党改革創生実行本部」の設置を決めた。
政権与党を目指す以上、「政権政策の再構築」も不可欠としている。しかし、信頼回復へ第一に向き合うべきは、迷走を極めた政権党時代の姿ではなかろうか。
前代表の海江田万里氏は民主党が政権を失った直後の2013年1月、「09年の政権交代時に、大きな力となったマニフェスト(政権公約)から総括していく。3年3カ月の民主党政権そのものが対象だ」と表明した。
同年2月の定期大会では、「マニフェスト作成のプロセスで透明性の確保や意見集約の手法に問題があった」「現実に政府を運営する以上、さまざまな変化に対応し、マニフェストになかった政策を打ち出す必要はあったが、政策提示のあり方に問題があった」と敗北を総括した。
民主党はその後、党再生に向けた議論に入り、海江田氏の落選を経て新体制がスタートしたが、現実は民主党内の話だけで済まない。いまだに政権党時代の負の遺産に揺さぶられているのだ。
米軍普天間飛行場移設問題は最たるものであり、今月になって本体工事が始まった八ツ場ダムもその一つだ。政権党時代の迷走が、外交や地域生活などに影響を及ぼし続けていることを忘れてはならない。
民主党政権への失望は、敗北総括で「与党でありながら政権を支える意識が希薄で、野党のような質問や政府批判を繰り返す議員が党内のバラバラ感を拡大し、さらなる政権の支持低下を導いた」とした党運営問題も大きいが、その前段の大半を占めたのは政策面の不一致だった。
国民に期待を抱かせたマニフェストを掲げて政権を奪取し、失敗してなお自主再建を目指す民主党だからこそ、個別の政策課題に踏み込み、どこを間違え、本来ならばどうすべきだったのかという「解」を見いださねばならない。
通常国会が開会した。岡田民主党は「野党として政権を攻撃する能力は十分にある」(自民党・高村正彦副総裁)布陣といえるが、政権奪還を目指す以上、同じ轍(てつ)を踏まぬように自らの過去とも厳しく向き合い、安倍政権に挑んでいくべきだ。
【神奈川新聞】