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在日外国人の公務員就労 制限広がる

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年12月19日(金) 14:00

自治体の公務員任用に関して、在日外国人が特定業務に就くことを制限する「任用制限」がなかった自治体が、新たに制限を課す例が増えていることが18日、分かった。在日外国人を支援する市民団体「民族差別と闘う神奈川連絡協議会」(林慶一、笹尾裕一共同代表)が、県内全自治体に行ったアンケートで判明した。定住する外国人が増えている現状を踏まえ、同日記者会見した同協議会の笹尾共同代表は「外国人もきちんと納税しており、差別的状況だといえる」と指摘している。

アンケートによると、座間、秦野、平塚、横須賀市と大井町が2000年度以降順次、任用制限を設けており、鎌倉市も時期は不明だが制限を加えている。また、従来から任用制限を採用している県、川崎、横浜市は、そのまま一部で制限を続けている。大磯、開成町は、制限の有無を回答しなかった。

同協議会は、来日した外国人の子どもらが就職する年齢に差し掛かったことを契機に、1993年に県内全自治体と協議。県、横浜、川崎市以外の自治体がすべて任用制限を撤廃していることを確認していた。

制限が広がっていることについて「相模原市以外の政令市や県で制限が残っていることが影響している可能性がある」と協議会は分析。外国人が定住傾向にある中、「留学」「家族滞在」など就労が制限される在留資格であっても採用することで就労可能な在留資格に変更することは可能で、民間企業では採用が進んでいる。同協議会は「公務員の任用制限は外国人の就労の間口を狭めると同時に、日本社会に納税者である外国人の意見が入らないことであり、問題だ」と話している。

◇実態見えず 民族差別と闘う神奈川連絡協議会が県内の全自治体に行ったアンケートでは、最近5年間に発生した民族差別事件が少なくとも30件あったことが明らかになった。協議会は「氷山の一角。差別を救済する制度がなく情報も隠されがちなので、実際はもっとあるだろう」と話している。

伊勢原、小田原、川崎、藤沢、横浜市が「差別事件が発生した」と回答を寄せ、案件数は合計30だった。公衆便所、図書館などへの落書きのほか投書、はがき、チラシなどによる事件も見られ、同一人物がたびたび差別を繰り返す例も見られた。ただ、横浜、川崎市で繰り広げられた排外デモでのヘイトスピーチ(差別扇動表現)は、数字に含まれていない。

一方、綾瀬市は差別事件を「把握する体制ができていない」と回答。また、「差別事件としては把握していない」という回答も19市町で見られた。差別に関する法制化が進まない中で救済システムを持ち得ず、情報が入りづらい自治体の実態も明らかになった。

差別が発生した場合の対応については「人権擁護委員、法務局の協力をいただく」という回答から「対応を検討する」というものまで、濃淡がある。差別事件への対応自体を想定していない自治体も目立つ。

同協議会は「議会などは、条例で差別事件をなくすよう声明を出すべき。国が動かない以上、市民が発言する必要がある」と主張している。

【神奈川新聞】

 
 

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