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圧勝の陰で〈上〉 9条 深まらぬ議論危惧

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年12月15日(月) 03:00

安倍政権の安全保障政策に危機感を口にする鷹巣さん=座間市内
安倍政権の安全保障政策に危機感を口にする鷹巣さん=座間市内

地域の子ども会の集いから帰宅した14日夜、テレビをつけると自民党候補者の喜ぶ姿が大写しになった。画面のテロップが「自民圧勝」「自民・公明 3分の2に届く勢い」と大勢を伝えた。

座間市の鷹巣直美さん(38)の胸が波立つ。

「選挙という国民の声を聞く機会をつくった安倍さんに感謝する思いもあったが、その気持ちはかげった」

国を守るという大義の下、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権の行使容認に踏み切った安倍政権に危うさを感じてきた。圧勝で強引さに拍車が掛かるのでは、と不安を覚えずにはいられなかった。

戦後日本の平和を支えた憲法9条に「ノーベル平和賞を」とインターネットで呼び掛ける運動を始め、今秋、9条を保持してきた国民全体が候補にノミネートされた。一人の主婦が始めた運動の広がりは国内外から注目を集めたが、鷹巣さんは今、無力感にさいなまれる。

衆院解散が決まり、やはりネットで署名集めを始めた。タイトルは「『戦争はやめてほしい』の声を集めるため、まずは『集団的自衛権の行使容認に反対』することで一致して選挙協力をしてください」。9日間で集まったのは562人分。「選挙でこれだけ票を集められる自民党はやはり、すごい」

2児の母。平和賞運動を思い付いたのも子どもたちの未来を思ってのことだった。ネットでは「平和主義を隠れミノにした売国奴」といった中傷や非難を受けたが、ふと気付いた。「戦争をしたい人なんていない。思いの根っこは同じなのに、交わらない議論を続けている」

集団的自衛権をめぐる議論がまさにそうだと思った。「抑止力としてそれを手にするか、抑止力として放棄し続けるか。賛成の人も反対の人も、戦争をしたくないという点は同じなはずだ」。行使容認は国民的議論を経ず、閣議決定による憲法解釈の変更によって決まっただけに、論戦が選挙戦でなされなかったことが残念でならない。

来年は集団的自衛権行使に向けた法改正の議論が国会で始まる。9条はこれ以上骨抜きにされるのか。

自民党が得た議席も有権者が投じた票が積み上がったものであることを踏まえ、鷹巣さんは言う。

「政治家も個人の信条思想だけでなく、集団的自衛権が必要という大勢の声を聞いているから、使命感や正義感、責任感で『国民を武力で守らなきゃ』と凝り固まってしまうのだろう。そんなことは望んでいないという声も多くあることを示し、不安を取り除くように思いを伝えないといけない」

続く言葉は母の祈りにも似て-。「『戦争は嫌だ』と表現していくことはささやかでも続けられる。自民党とか何党とか関係なく、皆の心の中にあるはずの『戦争はしたくない』という良心を信じたい」

【神奈川新聞】

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