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増税先送りに県内自治体が懸念 社会保障の財源見込めず

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年11月18日(火) 03:00

来年4月から始まる「子ども・子育て支援新制度」では認定こども園など保育の受け皿づくりが想定されており、県内の幼稚園でもさまざまな動きが広がる
来年4月から始まる「子ども・子育て支援新制度」では認定こども園など保育の受け皿づくりが想定されており、県内の幼稚園でもさまざまな動きが広がる

安倍晋三首相が来年10月の消費税率10%への引き上げ先送りを判断するとの動きをめぐり、県内の自治体から社会保障財源への影響を懸念する声が出ている。超高齢社会を迎え社会保障費が年々膨らむ中、安定財源として地方自治体に入る引き上げ分の一部が見込めなくなるからだ。医療・介護関連経費の増加に伴う財政圧迫や、子ども・子育て支援拡充策が足踏みしかねないとの不安が広がっている。

「われわれとしては消費税をあと2%上げていただきたい。今のままでは地方財政が厳しい中でやっていけない。とはいえ、タイミングなどは総理の総合的な判断を見守るしかない」。12日の9都県市首脳会議後、黒岩祐治知事は解散風とともに強まる消費増税先送りの感想を記者らに問われ、表情を曇らせた。

消費税収は景気に左右されない安定財源。現在の税率8%では1・7%、10%では2・2%が地方に配分され、2%引き上げによる地方の増収分は年間約1兆円超となる見通しだ。

増税による社会保障財源の拡充を見込んでいる県財政課は「仮に増税が延期された場合、国の社会保障改革の中身がどうなるか。高齢化で社会保障関連費が増大していく中で、その財源がどうなるか気になる」と懸念する。

来年度から全国で実施され、保育の受け皿を増やす「子ども・子育て支援新制度」への影響も気がかりだ。10%への引き上げ分のうち年7千億円を財源に充てる計画で、待機児童問題など子育て支援が急務の自治体には心配の種だ。

国の補助基準を先行して取り入れ、独自助成する方針を決めた横浜市も例外ではない。市の担当者は「今後どうなるのか。本当に悩ましい」と打ち明ける。

市の独自助成は、新制度実施の目前になっても国が消費増税分の総額が確保できる2017年度以降の補助基準しか示していないことに対する保育事業者の不安を解消するための措置。15年度から事業者に独自助成する予定だが、増税延期ならば独自助成する期間が延び、市の持ち出しが増える可能性があるという。

担当者は「保育の質の向上を目指す新制度が後退しないか。せっかく事業者や利用者の不安を解消する独自助成を決めたのに、新たに懸念材料が出てきた。国は不安解消に努めてほしい」と注文を付けた。

一方で、今回の増税延期に一定の理解を示すのは藤沢市。その判断の背景には、アベノミクスによる景気浮揚で堅調に推移した市民税収入がある。

市財政課によると、市民税収入は13年度決算ベースで前年度比約50億円の大幅増を記録。一方、10%への税率引き上げで、市が得られる地方消費税交付金の増額分は18億円ほどと試算している。

同課は「延期は痛いことは痛い」としつつも、「無理な増税で景気に水を差し、市税収入が落ち込む方がもっと影響は大きい」との見方を示している。

【神奈川新聞】

 
 

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