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中井町長に杉山氏 一騎打ち制し初当選

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年11月11日(火) 11:54

緊張した面持ちで当選証書を受け取る杉山祐一氏=10日、中井町庁舎大会議室
緊張した面持ちで当選証書を受け取る杉山祐一氏=10日、中井町庁舎大会議室

任期満了に伴う中井町長選が9日、投開票された。元町議で無所属新人の杉山祐一氏(60)が、曽我功氏(62)を破り、初当選を決めた。投票率は64・49%で、前回(67・37%)を2・88ポイント下回り、過去最低となった。

3期12年務めた尾上信一町長が引退。町の新たなかじ取り役を決める選挙は、これまでの町政に対する姿勢も争点の一つになっていた。

杉山氏は尾上町長の事実上の後継者として町政の継承・発展を掲げ、手堅い組織選挙を展開。住民の声を町政に反映させる「町民会議」の創設や、確実な財源確保、保育料・学校給食の無償化などを訴え、子育て世代にも支持を広げた。

曽我氏は「町政の停滞を脱却し、改革刷新」を訴え、地産地消型バイオマス事業を掲げて善戦したが、浸透し切れなかった。

当日有権者数は、7907人(男3946人、女3961人)。

同日午後10時15分すぎ、当選確実の情報が伝わると、同町久所の自宅兼選挙事務所のある中庭に集まった250人以上の支援者たちから、「勝ったぞ」の声と拍手が湧き上がった。

事務所には、牧島かれん衆院議員や川上賢治県議のほか、本山博幸松田町長や加藤憲一小田原市長ら近隣自治体の首長も続々とお祝いに駆け付けた。報道陣に囲まれた杉山氏は「地味だが公約を着実に実行するという姿勢が評価された」などと勝因に触れながら、選挙戦を振り返った。

◆全町民の視点で臨む

投開票から一夜明けた10日、中井町役場で当選証書を受け取った杉山祐一氏(60)は神奈川新聞社のインタビューに応じ、「公約を実現するために決意を新たにした」と重責をかみしめた。14日の就任を前に、町政をどう進めるのか、新リーダーに今後の抱負を聞いた。

-初当選の感想は。

「公約した中井みらい計画を実行しようと決意を新たにした」

-投票率が64・49%と過去最低を更新し、相手候補にも2245票投じられたことをどう受け止めるか。

「投票率は予想範囲内の高い方だった。約500票差と厳しい選挙戦だったが、町政運営では批判も受け止め、中村地区-井ノ口地区という軸を超えて全町民の視点で臨みたい」

-町政の活性化策として第一に挙げた「町民会議」の位置付けと、発足時期は。

「町民の生の声を聴き、まちづくりに反映させる町長直轄の恒常的な組織で、町長のブレーン組織や審議会、町議会とも違う。数十人規模で本年度中には発足させたい」

-公約した子育て支援策拡充の財源は。

「1億円弱の財源が見込まれ、新年度予算案編成に当たり既成事業費を総枠で2%程度縮減し、捻出したい。事業仕分けは2016年度から着手する」

-まずやることは。

「神奈川中央交通バスの町内3路線の廃止・減便により町北部の境地区などが影響を受けている。町が同社に委託して実証運行しているオンデマンドバスの小田急線秦野駅への接続改善などを要望したい」

緊張した面持ちで当選証書を受け取る杉山祐一氏 =10日、中井町庁舎大会議室

◆解説:課題直面 問われる力量

3期12年続いた尾上信一町政の事実上の後継者、杉山祐一氏(60)が、一騎打ちで初当選を決めた中井町長選。とはいえ投票率は64・49%と過去最低となり、有権者は「町政の改革刷新」を訴えた対立候補の曽我功氏(62)に2245票を投じた。新町長は「声なき声」や批判をどう受け止め、町政のかじを取るか、力量が問われる。

子育て支援から企業誘致、高齢者対策までずらりと並んだ両氏の公約。杉山氏は「町民会議創設」など財源を明示した「中井みらい計画」を唱え、曽我氏は地産地消型バイオマス事業という“先行投資策”を掲げたが、明確な対立軸までにはならなかった。

同町は歴史的経緯から中村地区と井ノ口地区が“地区対抗”を繰り返したが、今回は両氏とも中村地区の出身。「空白の井ノ口地区を制した者が町長選を制する」との見立ての中で、井ノ口地区出身の尾上氏が後継を託し、組織戦を展開した杉山氏に「分があった」と関係者はみる。

地区対抗の相克を超え、町民主役の町政を実現するために創設する「町民会議」に、どんな役割を与えるのか。子育て支援、企業誘致などの対策は、じわりと進む人口減対策につながる。新町長の直面する課題は、待ったなしだ。

◆杉山祐一氏の横顔 東京農業大学卒業後、印刷会社に勤め、2003年町議に初当選。約11年間で文教民生、総務経済の常任委員長、議長を歴任した。「町民の声が町政の指針」を主張。趣味はゴルフで、町野球協会会長も務めるスポーツ好きでもある。60歳。

【神奈川新聞】

 
 

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