川崎市は29日、市役所本庁舎建て替え構想に関する新庁舎の配置計画案を明らかにした。新築の超高層棟の脇に、既存の庁舎を一部復元する形で「低層棟」を建設する案を軸に、計8案を提示。今後は来年中の基本計画策定を目指し、検討を続けるとしている。
市が中心に据える同案は、既存庁舎を復元することで近代化遺産としての建物の形を継承。低層棟には情報プラザやカフェを設置するほか、高層棟との間にアトリウム(屋根付き広場)を設け、イベントや災害時に活用する。
復元する場合の工事方法については、多額のコストがかかる「曳家」方式ではなく、いったん解体して新築・復元する方式を採用するとしている。第2庁舎跡地は広場として活用する。
同日の市議会総務委員会で、市本庁舎等建替準備室が説明。委員からは「現在の本庁舎は戦争にも耐え、市民には『粗末に扱うな』という思いがある。お金をかけてもやる、というケースも検討するべきだ」などといった意見が出された。
このほか、超高層棟に加え現在の時計塔のみをオブジェとして復元する案や、復元せず新築の低層棟を建設する案なども出され、今後検討を続けるとした。
市によると、現在の本庁舎は1938年に完成。新庁舎の完成時期は早くても2021~22年ごろで、総事業費は約360億円を見込む。30日には学識経験者と市民代表からなる外部委員会が開かれ、同様の案を説明する方針。
【神奈川新聞】