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【社説】首長の特別秘書 必要性の議論を深めよ

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年9月19日(金) 12:01

川崎市の福田紀彦市長は、首長の公務での政治的活動を支える特別職の秘書(特別秘書)設置条例案を、9月初めの市議会開会当日に取り下げた。議会の反発が強く、成立のめどが立たなかったためだ。

特別秘書は、地方公務員法に条例で指定するものと規定され、全国ではおよそ半数の都道府県が、政令市では6市が制度を持つ。横浜市の林文子市長はことし4月から自分に近い大学講師を任用した。県では2011年から黒岩祐治知事が菅義偉官房長官の元秘書を起用し、国への政治的なパイプを確保している。

政治的な駆け引きも絡み、議会から特別秘書条例案が否決される例は少なくない。2004年、松沢成文前知事が提案した条例案は県議会で否決された。名古屋市でも10年から過去3度否決され、ことし4度目の提案でようやく通った。

なぜ首長は特別秘書を求めるのだろうか。首長は行政機関のトップであると同時に政治家の顔を持つ。純粋な公務のほかに、政治的な内容の行事や会議、国会議員や他自治体首長、財界関係者との打ち合わせや政策調整など政治的色合いの濃い活動も多い。代理出席や日程調整などのため、首長の補佐役として特別秘書が必要となるのは事実だろう。一般職の秘書は政治的活動が認められていないからだ。

しかし、それだけでは幅広い理解は得られない。財政が厳しく、行財政改革で人件費を減らすなか、なぜ高給(川崎市案では年間1100万円)の職員を増やすのか。副市長では役割を果たせないのか。公務と政務の線引きはどうなのか-。人選は議会同意を必要としないため、人物を不安視する声も上がる。

猪瀬直樹前東京都知事が徳洲会から提供を受けた5千万円の返却役は特別秘書が務めたという。橋下徹大阪市長の特別秘書に対しては、市民から税金の無駄遣いなどとして住民監査請求や給与の返還訴訟が起こされた。最近、こうした問題が起きていることも、特別秘書の設置に懸念を持たれる要因となっていよう。

川崎市の場合は、政治的な思惑や唐突な提案も反発を招く結果となった。福田市長の再提案の時期は不透明だ。だが、次回はその必要性や費用対効果、業務の透明性の確保などについて、市民の理解を得る丁寧な説明はもちろんのこと、議会側との建設的な議論も期待したい。

【神奈川新聞】

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