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【社説】川崎市の行財政改革 求められる抜本的対策

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年9月2日(火) 12:19

川崎市は2015年度末までにまとめる行財政改革計画の策定方針を示した。「聖域なき行財政改革の推進」の必要性を訴え、さらなる民間活用の推進と事務・サービスの廃止・見直しを柱に据えている。

福田紀彦市長の前任の阿部孝夫市長時代は、行財政改革そのものが市政運営の最大の柱だった。阿部氏就任当時、市内産業の業績低迷などによる市税収入の落ち込み、人件費の高さなどの義務的経費の増加により深刻な財政硬直化を招いていた。02年7月、「財政危機宣言」を出し、行革を最優先に取り組んだ。

12年間の行革で、人件費抑制のために職員削減、諸手当の見直し、業務の民営化や指定管理制度を積極的に導入した。結果、約1万6千人の職員のうち3045人(約19%)を削減、人件費は923億円から657億円と29%圧縮した。行革効果額は814億円と試算する。

阿部行革は高く評価できようが、今後も大幅な歳入が見込まれない一方、歳出では社会保障関連経費の増大は確実で、施設の老朽化対策も急務。市が示した財政収支推計によると、10年間で少なくとも累計1633億円、最大3941億円の収支不足になるという。

本年度予算も既に交付税が見込み額を下回り、全庁的に1%の執行抑制を求めるなど財政状況は厳しい。市長公約関連でも中学校給食導入で給食センター建設に約140億円、今後検討される子どもの医療費無料化の適用年齢の引き上げなど歳出圧力がかかるのは目に見えている。

行革策定方針では、さらなる民間活用の推進と事務・サービスの廃止・見直し、職員の自発的な業務改善の取り組みを掲げ、福田市長は「スクラップ・スクラップ・アンド・ビルド」と職員の尻をたたく。スクラップを重ねる、すなわちすべての事務・サービスで大幅な廃止の必要性を、この言葉に強く込めている。

しかし、「行革の大きな種は尽きている」と市幹部。人件費削減とハード面などの公共工事などを削減して対応してきた従来の行革のやり方は、もはや限界だ。市民サービスや住民負担のあり方について、抜本的な対策が求められる。市民サービスの廃止には当然、市民の「痛み」を伴う。昨秋の市長選で、福田市長はその点に関し、ほとんど語っていない。市民が理解、納得できる説明や議論も今後の課題だ。

【神奈川新聞】

 
 

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