安倍晋三首相は9日、長崎市で記者会見し、9月4日を軸に行う内閣改造で菅義偉官房長官を留任させると表明した。「安定的に政策を進めるため、官邸の要になっている官房長官に引き続き職にとどまってもらいたい」と述べた。官房副長官3人と首相補佐官5人の続投方針も明言。菅氏以外の閣僚人事や自民党役員人事については「白紙の状態だ」と説明した。
菅氏を留任させるのは、秋以降の原発再稼働や消費税率10%への再増税判断などの課題を抱え、官邸主導の意思決定を維持する狙いとみられる。
3人の官房副長官は自民党衆院議員の加藤勝信、同党参院議員の世耕弘成、警察庁出身の杉田和博各氏。5人の補佐官は自民党衆院議員の木村太郎氏、同党参院議員の礒崎陽輔、衛藤晟一両氏、内閣広報官を兼務する長谷川栄一氏、元内閣官房参与の和泉洋人氏。
改造人事では、閣僚の半数以上を交代させる見通しだ。自民党内で約60人に上る「入閣待機組」の不満解消に努めるため、首相は国会議員を中心に閣僚を選ぶ意向で、女性も積極的に起用する。
安倍政権は来春の統一地方選を見据えて地域経済活性化を重視。改造人事では地方創生担当相を設ける。新たに置く安全保障法制担当相は、集団的自衛権の行使容認に関する国会答弁などを担う。
首相は会見で地方創生に関し「短期的な政策だけでなく、中長期的にも地方の人口減少にしっかり歯止めをかける骨太な政策を進めていかなくてはいけない」と指摘。安保政策の充実にも力を入れる意向を強調した。
首相に近い麻生太郎副総理兼財務相や甘利明経済再生担当相は続投する方向だ。改造に先立つ自民党役員人事は、石破茂幹事長を続投させるかどうかが焦点となっている。
【神奈川新聞】