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【社説】逗子海水浴場の規制 「調和」へ今こそ対話を

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年8月7日(木) 09:07

逗子海水浴場の海の家の営業時間や音楽の規制をめぐり続いていた対立が、ひとまず決着した。逗子市が定めた「日本一厳しい」とされる条例・規則に反発していた海の家経営者でつくる逗子海岸営業協同組合が、市の規制に準拠する自主ルールを今シーズンいっぱい継続することを決めた。利用者に無用な混乱を生じさせなかった点で、賢明な判断といえる。

だが正念場はむしろこれからだ。来夏以降のビーチの「あるべき姿」をめぐり、関係者には対話を深める努力を今まで以上に続けてほしい。

逗子だけでなく、湘南の海岸はいつも文化の発信地だった。音楽とは切っても切れない関係ともいえる。だがここ数年、その音楽によって、治安の悪化や風紀の乱れが顕著になった。その中心にあったのが、海の家の「クラブ化」問題だ。

大音量の音楽が流れ、若い男女が酒を飲み、水着姿で深夜まで踊る。悪影響は、泥酔した客の救急搬送や客同士のけんか沙汰にとどまらない。騒音やごみの不法投棄、住宅敷地内への侵入など、近隣住民が受けてきた被害は深刻なものだった。逗子では昨夏、来場者同士の殺傷事件まで起きた。一定の規制が必要なのはやむを得ないだろう。

では、ビーチの「あるべき姿」とは、何だろうか。考え方は多様で、すべてを満たす「正解」を導き出すのは容易ではなさそうだ。

乗り越えるすべは、「ビーチは誰のものか」という問いに、それぞれが向き合っていくことに尽きる。

「安心して子どもを遊ばせられる」「条例で決まったことだから従うのが当然」「経営が成り立たない」「音楽がないのは寂しい」「海を見ながらの一杯が楽しみなのに」…。こうした賛否が、自らの立場だけから考えたものになっていないか、自問してほしい。異なる立場の考えを理解し、その上で多様な利用者、関係者が調和できるルールを見つけることはできないだろうか。

逗子市では現在、公募市民らで組織する検討会が来夏以降の規制のあり方について議論している。組合はこれまでオブザーバー参加にすぎなかったが、同じテーブルで対話しなければ、誰もが受け入れられるルールづくりはおぼつかない。

良質な文化を育んできた誇りを胸に、ビーチのあり方を模索し、手本として全国に発信してほしい。

【神奈川新聞】

 
 
 
 

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