集団的自衛権の行使容認をめぐる与党協議のメンバーとして議論を重ねてきた公明党の上田勇外交安全保障調査会長(衆院6区)は2日、神奈川新聞の取材に応じ、憲法解釈を変更する閣議決定に「提案がほぼ受け入れられた」との認識を示した。連立政権離脱を求める声があったことには「結論を出さずに離れるのは無責任」と強調した。
-与党協議をどう振り返るか。
「開始時に協議の土俵が整った。方針として(国際紛争の解決手段以外の戦力保持を認めるとする)『芦田修正論』を取らず、湾岸やイラクでの戦闘に参加もしないとされた。結局、従来の政府方針を踏襲する内容。閣議決定に公明党の提案がほぼ100パーセント受け入れられたと思う」
-焦点となった行使の歯止めについて、表現があいまいとの指摘がある。
「要件として示された『国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険』は相当限られた事態で、自衛隊法に基づく防衛出動が下令されるような状況だ。当初案の『おそれ』から、『明白な危険』に修正したことで、自衛権の行使と限定する表現に客観性が保てた」
-「平和の党」の党是に反するとの指摘が党内外から上がり、地方には連立離脱を求める意見もあった。
「外交安全保障政策は政治の基幹。与党として一定の結論を出さなければならない。意見が受け入れられないから連立を離れるというのは極めて無責任だ。公明党の外交安全保障の基本は現実主義。今回の決定も平和維持のためのものだ」
-野党などは、国会での議論を重ねず閣議決定がされたことを批判している。
「そうした指摘は分かるが、政府方針が決まらないと議論は深まらないのではないか。閣議決定はあくまで政府の方針であり大枠。法案は今後、国会で十分な議論をすることになる」
【神奈川新聞】