川崎市の福田紀彦市長は31日、市民から直接意見を聞く「区民車座集会」を幸区役所で開いた。区民ら23人から中学校給食導入や子育て施策など幅広い意見、要望が寄せられ、中学校給食の実施方式について福田市長は「全校自校方式は現実的に難しい。しかし、一律的に考える必要はない。可能性があるところは(自校方式を)検討してもいい」との認識を示した。
全中学校で自校方式の給食を求める要望に福田市長は「調査ではほとんどの中学校では(調理場のために校庭や教室がつぶされ)教育活動の妨げになり、自校方式は事実上困難。だが、可能性があるところは検討してもいい。教育委員会の検討の推移を見守りたい」と述べた。
川崎の歴史の記録について「写真や冊子では劣化が激しいので、デジタル映像化すべきだ」との意見に、福田市長は「古くからの市民は個人で昔の川崎の姿の写真、映像を持っている。ことし市制90周年を迎えるが、100周年に向け、協力を募りアーカイブ化するのはいい事業ではないか」と新たな構想を披露した。
同市内でも何度か行われている、在日コリアンへの差別的表現を連呼する「ヘイトスピーチ(憎悪発言)」への認識を問われ、福田市長は「聞くたびに怒りを通り越して情けないと思う。あらゆる差別をする心が起きないように子どもに教育するのが大切。しっかりと進めたい」と答えた。
車座集会は市長が市長選で掲げた公約の一つで、ことし1月から毎月1回各区を巡回している。今回で5回目で、次回は29日に高津区で行われる。市ホームページなどで申し込める。
【神奈川新聞】