空き家対策を総合的に進めるため、川崎市が対策計画案(2017~21年度)をまとめた。都心へのアクセスが良く人口も増えている市内は空き家が少ないため、高齢化や世帯数減少をにらんで空き家化を予防することを重視。住宅良質化による流通促進や住民活動での利活用のほか、空き家のデータベース化などを進める。
空き家は放置されると、朽ちた屋根や外壁が落ち、防災上も問題がある。市内では空き家率が10・4%(全国平均13・5%)と他都市より低いため、基本方針では、予防的取り組みの推進やまちづくりに資する利活用推進などの方針を掲げた。
具体的には、高齢者の住み替えに関する相談窓口を市住宅供給公社に設置し、空き家につながる懸念がある住宅の活用を促進。住宅の耐震化やバリアフリー化による良質化も進める。
高度成長期に開発された宅地では空き家の増加が懸念されるため、課題を抱える町内会や自治会でワークショップを開催。空き家を活用した地域の交流拠点づくりを進める。低所得の高齢者や障害者に対しては、居住の安定化と生活支援を検討する。
消防局が防火対策で巡回している市内の空き家約740戸を現地調査し、17年度にデータベースを構築する。所有者の活用意向や建物の傷み具合などを把握する予定だ。
倒壊の恐れがある空き家の撤去や修繕を所有者に指導、勧告、命令でき、従わない場合は行政代執行で撤去できる「特定空家等の判定基準」も策定した。
市は、4月に有識者による市空家等対策協議会を設置し協議してきた。12月1日から来年1月13日まで計画案に対する市民意見を募集し、来年3月の策定を目指す。