みんなの党の渡辺喜美前代表による8億円借り入れ問題をめぐり、浅尾慶一郎代表(衆院4区)は25日の定例会見で、違法性を否定した内部調査報告書について「できることはやった」と強調した。衆院政治倫理審査会(政倫審)の出席を渡辺氏に促すことについても、「報告書と同じ発言が行われる」と慎重な姿勢。ただ来春に統一地方選を控える県内の地方議員には、問題の余波が長引くことへの疑念が消えていない。
「30ページ近い報告書を他党で出せたかどうかをまず申し上げたい」。浅尾氏は会見で、内部報告書の中身に胸を張ってみせた。
報告書では、8億円とは別に5者から約6億円を借り入れていたことが判明しているが、渡辺氏や夫人の個人的な支出については使途の解明に至っていない。政倫審は当事者自身が開催を求めることができるが、浅尾氏は「報告書の中でプライバシーの観点から非開示とされたものが、(前代表が)政倫審に出たからといって開示されることはないのではないか」と説明、政倫審開催の効果を疑問視した。
借り入れに違法性がないと結論付けたことで、党内には渡辺氏の表舞台復帰を期待する声もある。中西健治政調会長(参院神奈川選挙区)は「前代表は多くの知見を持っており、これからもアイデアを出してほしい」。松沢成文参院議員(同)は「大事なのは再発防止だ。政治資金規正法や国会議員資産公開法の改正案などを連休明けにも出していきたい。他党も一緒にやるべきだ」と話した。
一方、約1年後の統一地方選に向けて党の信頼回復が死活問題となる地方議員の受け止めは複雑だ。
県総支部政調会長の小川顕正川崎市議は「これで新たなスタートを切れる」と話すが、横浜市議団の大桑正貴団長は「支援者に説明するためにも、総支部の定例会などで直接詳細を聞きたい」。県総支部幹事長の塩坂源一郎県議は「報道を見る限り、私自身も国民の理解が進んだとは思わない」とした上で、幕引きを急ぐ執行部に注文をつける。「地域を歩くと厳しい声を聞く。疑問を払拭(ふっしょく)するまで丁寧な発信を続けてほしい」
みんなの党から分かれた結いの党の小野次郎幹事長は「中途半端な結果。カネも組織もない第三極をつくった人にそんなに金が必要だったのかという疑問に答えていない」と切り捨てた。
【神奈川新聞】