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特定秘密保護法を問う(18)監視する第三者機関の在り方は 米国の運用視察した民主・後藤氏

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2014年2月27日(木) 00:00

「チェック機関の独立性担保と実質的な権限付与が重要」と訴える後藤氏=衆院第2議員会館
「チェック機関の独立性担保と実質的な権限付与が重要」と訴える後藤氏=衆院第2議員会館

特定秘密保護法の年内の施行に向けた焦点の一つが運用を監視する第三者機関の在り方だ。秘密の指定は行政機関が全面的に担うため、恣意(しい)的な運用を防ぐ仕組みづくりが欠かせない。法案審議に当たった特別委員会メンバーで、米国の制度を視察した民主党の後藤祐一氏(衆院比例南関東)に課題を聞いた。

■疑念消えず

政府が検討中の第三者機関に「最も秘密を隠す立場の人たちがメンバー。これではブレーキにならず、暴走しかねない」との認識を示す後藤氏。「責任回避のために不都合なことは隠そうとする。官僚の本質は事なかれ主義だから」。元経産官僚で、その思考回路や習性を熟知するからこその懸念だ。

秘密の指定・解除の妥当性を監視するため、設置が検討されているのは、情報保全監察室、独立公文書管理監、保全監視委員会の各機関=図表参照。

内閣府や内閣官房に置かれ、情報保全監察室のメンバーには民間人の起用も検討されているが、いずれの組織もチェックを担うのは官僚だ。「身内」によるチェックでは、政府が都合の悪い情報を隠すとの疑念は拭えない。

「国会が選ぶ有識者による独立性の高い組織が不可欠。メンバーは、まったくの第三者というわけにいかないのなら、外務省や防衛省のOBでもいい。省庁の仕事や秘密管理の実務にも通じる一方、政府の言いなりにならないことが重要だ」

後藤氏はそう提案する。

■明確な権限

そもそも仕組みを整えたところで、役割と権限があいまいでは形骸化は免れない。その意をあらためて強くした米国視察だった。

内閣官房職員を含む超党派の衆院議員団が米、英、独の議会関係者らを訪ねて回ったのは1月。後藤氏は米国のみの訪問だったが、ワシントンで議会や行政内の監視体制を調査し、彼我の差を痛感した。

米国では上下両院の委員会が中央情報局(CIA)などの情報機関の機密運用をチェックしているが、ポイントはその権限だった。

「チェックする側の委員会が情報機関の首根っこ、つまり予算と幹部人事を握っている。情報機関は委員会の求めに応じ、洗いざらい機密の説明を尽くさなければ予算や人事を通してもらえない。チェック側が実質的な権限を持つことで機密の運用監視機能が担保されている」

日本でこうした体制は構想されていない。

第三者機関の設置は「検討」が法律の付則に記されているにすぎない。そもそもチェックの仕組み自体が政府原案にはなく、与党と日本維新の会の修正協議の中で駆け込みで盛り込まれた経緯がある。

一方、秘密保全法制に関する米国の大統領令は前文で「国家安全保障に関する情報の機密指定、安全措置、指定解除の仕組みを規定したもの」と記し、こう続く。

「われわれの民主主義の原則が求めているのは、国民が政府の活動について知らされるということである。また、国の発展は政府内部と国民への情報の自由な流通によっている。それでも、市民や民主的体制、国土の安全、外交関係を守るため、一定の情報の機密保持を必要としている」

当初原案では国民の「知る権利」への言及もなく、情報を秘匿する仕組みとしてのみ考えられた特定秘密保護法とは出発点が違う。

後藤氏は「最低限」とした上で、独立性を確保した第三者機関には(1)各行政機関が保有する特定秘密について説明させる「報告徴集権」(2)秘密指定の解除を求める「指定解除請求権」を与えるよう主張する。「政府は消極的だが、法律で独立性とこうした権限を明記しなくては、政府に都合のいい形式的なチェック機関ができるだけだ」

■秘密の本質

米国では官僚機構の在りように根ざした違いも感じたという。「米国では政権交代で一定以上の行政職員が総取っ換えになる。日本のような省庁の縦割り意識も小さく、役所間の情報共有が進んでいる」と指摘。「情報を共有することで役所間にいい意味でのけん制が働き、いいかげんな運用ができないようになっている」

こうした視察が法の成立後になされること自体がこの法律の不備を物語るが、後藤氏は「後付けであっても、施行までに歯止めをかけるための有意義な議論をしたい」と話す。

だが、先の臨時国会で法案を審議した特別委員会は廃止され、今通常国会で集中審議のために新たな特別委が設けられる気配はない。後藤氏は「審議の場も定まっていないのが実情。政府・与党が消極的なのは、これ以上ボロが出るのを避けたいからだろう」と嘆き、警鐘を鳴らす。

「形式的でもチェック機関をつくってしまえば、政府は『やったふり』ができる。最も恐れるのは、やったふりによって、監視の仕組みが機能していないことを外部から暴くことができないことだ」

ひとたび秘密に指定されれば、何が秘密にされているのかさえ分からなくなるという、この法律の本質がここにも影を落とそうとしている。

【神奈川新聞】

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