住民らの反発で放射性物質を含んだ下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結している横浜市は19日、今後発生する汚泥焼却灰の埋め立て場所について、南本牧廃棄物最終処分場(中区)の内水面から陸地部分に変更する代替案を明らかにした。凍結から2年。保管スペースが限界に近づく中、市は膠着(こうちゃく)状態の打開に向けて新たな方策を提示した。今後、近隣住民や関係者に説明し、理解を求めていく方針。同日開催の市会常任委員会で報告した。
市環境創造局によると、7月末時点で北部汚泥資源化センター(鶴見区)の焼却灰は1キロ当たり626ベクレル、南部汚泥資源化センター(金沢区)は494ベクレルと国が示す埋め立て可能とする基準値(8千ベクレル以下)を下回っている。
また、7月末時点で両施設にコンテナ詰めで保管されている焼却灰の量は計約2万6500トンに及ぶ。現在も1日約40トンのペースで焼却灰が発生しており、このうち10トンは改良土として有効利用され、残り30トンが両施設で保管され続けている。来年3月には保管するスペースがなくなる見通しという。
こうした点を踏まえ、同局の荻島尚之局長は委員会で「最高で約6500ベクレルだった放射能濃度は10分の1ほどに下がっている。当初に比べるとかなり安全性が高まっている」と説明。「市民、関係者に安心してもらうため、現状を丁寧に説明する中で意見交換をしていきたい」と述べた。
市は2011年9月、「国の基準を下回っている」として、同処分場の内水面に埋め立てる方針を示したが、地元の反発を受け計画を凍結している。
環境創造局によると、南本牧処分場で埋め立てによってできた陸地部分を圧縮するなどし、焼却灰の埋め立て場所を確保するという。委員会で荻島局長は「下水汚泥焼却灰に含まれるセシウムは水に溶出しにくいということは試験で確認している」と説明。その上で「内水面ではなく、陸の上できちんと処分できればより安心してもらえると考えた」と話した。
市が新たに検討を始めた方策について、1キロ当たり100ベクレル以下を厳守するよう求めてきた横浜港運協会は「内水面や陸地など投棄場所の問題ではない」とコメント。「私たちの要求する基準が堅持されなければ、認めることはできない」としている。
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