新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、黒岩祐治知事は17日、直近の県内新規感染者数が県独自の基準を上回ったとして「神奈川警戒アラート」を初めて発動した。ただ、当初定めていた県民への外出自粛要請は行わず、感染防止対策がされていない場所には行かないよう求める形に変更。医療機関への即応病床数の拡大要請についても病床数が十分確保できているとして見送った。
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県内では17日に43人の感染が発表され、3日連続で40人を超えた。アラートの発動基準は直近1週間の新規感染者数(1日平均)が33人以上。県の集計によると、11~17日は33・43人で、初めて基準に達した。
これを受け、県は対策本部会議を開き、知事がアラート発動を宣言。新型コロナ特措法に基づき、県民には感染対策の用心を徹底するとともに、県が進める「感染防止対策取組書」を掲げていない場所には行かないよう要請した。事業者には、テレワークや時差通勤の取り組み、同取組書の掲示などの徹底を求めた。
アラートは当初、県民に外出自粛を求める内容だったが、知事は措置を改定したことについて、「アラートに外出自粛の言葉があると、緊急事態宣言のインパクトが強く、家から一歩も出たらいけないと誤解されるかもしれない。直前に変更を決めた」と説明した。
会議では、必要な即応病床数を2週間以内に確保する措置について、①若年層の感染者が増加し入院に至らないケースが多い②入院患者数の動向が推計入院者数に比べて少ない─ことなどから医療機関に要請しないことを決めた。
アラート解除の基準は定めておらず、今後協議して決めるが、最低でも2週間は様子を見るとした。大規模イベントの開催制限緩和や、県立学校の対応については変更しない方針。
知事は「一時は感染者数がゼロになり、終息に近づいたかと思ったが、残念ながらアラートを発動することになった。まさに正念場。これ以上患者を増やさないよう、しっかりと対応したい」と語った。