三浦市が栃木県内の有限会社「吉龍」と結んだ三崎漁港の二町谷埋め立て地の売買契約をめぐり、吉龍から契約保証金が納入されていない問題で、同市の吉田英男市長は4日、速やかに進展がない場合は契約解消も視野に入れていることを明らかにした。同日開会した市議会9月定例会の本会議で、出口眞琴市議の一般質問に答えた。
吉田市長は冒頭、「二町谷の土地売買契約について議会、市民に心配をかけている。市として想定していなかった事態で大変苦慮し、心苦しく思っている」と話し、依然として未納であることを認めた。
法令上の罰則はないものの「本来納付すべき時期から1カ月以上経過していることを重くとらえる」として、顧問弁護士と協議した上で8月27日に催告の書類を送ったことも明かした。
出口市議に契約締結前後の経緯などを問われた吉田市長は、交渉段階から重要事項の説明を尽くしてきたと強調。吉龍が未納の理由として、冷蔵施設や従業員向けの住宅が確保されていないなどと主張している点については「相手の事業展開に対する協力を可能な範囲で行いたい考え」としながら、「今回の土地売買契約に際しての条件や市の義務として位置付けできるものではない」とした。
今後の対応については、「引き続き義務の履行(契約保証金の納入)を求める」とした上で、「速やかな事態の進展が見られない場合には契約の解消に関して相手方と協議を行い、応じない場合は市側の解除権を行使する」と話した。
神奈川新聞社の取材に対し、吉田市長は「一般的には催告状を出してから2週間以内がリミット」と答えている。
同市と吉龍は埋め立て地約4・4ヘクタールを約20億1500万円で売買する仮契約を6月に締結。7月10日の市議会の議決を経て本契約が成立し、同時に吉龍は契約保証金約2億153万円を納入しなければならないと契約書に明記されている。
市は売却を見越して本年度当初予算に全額を収入として計上している。吉田市長はこの日、契約が解除された場合は補正予算で修正する考えも明らかにした。
◆契約解除を要求最大会派
契約保証金が未納入となっている二町谷の埋め立て地問題について、4日の市議会本会議で一般質問に立った最大会派みうら市政会(7人)の出口眞琴市議は「会派の総意」として契約の解除を求めた。
土地売買について市民から心配する声が上がっている点や、8月6日の三崎漁港振興協議会の場で委員を務める寺本紀久・三浦商工会議所会頭から不安視する発言があったことを列挙。「保証金が納付されないまますでに1カ月以上がたち、明らかに契約違反」とし、会派の総意として「今回の契約は解除すべき。市長の一日も早い政治決断を強く望む」とした。
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