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「黒岩流」に鋭い視線
神奈川発へ奮闘 成果は 黒岩知事、任期あと半年

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2018年10月22日(月) 10:46

ベトナムとの経済交流がもたらす成果を語る黒岩知事=9月8日、横浜市中区
ベトナムとの経済交流がもたらす成果を語る黒岩知事=9月8日、横浜市中区

 黒岩祐治知事の2期目の任期満了まで、22日で残り半年となった。県政のかじ取り役として「神奈川発の流れをつくる」と奮闘してきた取り組みの果実を県民は実感できているか。前回の知事選で相乗りした各党との距離感はどう変化しているのか。900万県民のトップが打ち出す「黒岩流」に向けられる視線は、より鋭さを増している。


先見性


 「県の取り組みがベトナム政府から高く評価され、友好記章をいただきました」。9月に県庁前で開かれたイベントの式典で、知事は自身の胸を指さして誇らしげに語った。

 今年で4回目を迎えたベトナムフェスタ。知事はこれまでゼロだったベトナム企業の神奈川への誘致が1年間で6社に達した実績を強調、県内の中小企業も5社が同国に進出したと交流の成果をアピールした。

 ただ、神奈川同様にベトナム人が多く暮らす愛知県で、同国に進出した企業は約130社。記章は日越の戦略的パートナーシップ発展に取り組む埼玉や群馬の知事らにも授与された。

 とはいえ、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも飛躍的な成長を遂げるベトナムに着目した知事の「感度」を評価する声は県庁内外から聞こえ、さらなる交流の深化による経済発展への期待も大きい。

 自ら「革命的」と称す未病関連産業の広がりや、技術開発支援によるロボットと共生する社会の構築、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の推進-など、とりわけ先見性の高い取り組みに注力してきた4年間。

 しかし、いずれも短期的な尺度で費用対効果の検証が難しいテーマで、次世代の県民に果実がもたらされるかも評価できないジレンマがつきまとう。「歴代知事と比べても、ここまで検証が難しい看板政策を並べる知事はいない」。こうした県議の指摘も織り込み済みかのように、知事は言う。

 「よく『黒岩カラーはどうか』と聞かれるが、自分で今やっている政策を見渡してみると、全部が完全な黒岩色だ」


距離感


 「まぁ、無難にやってるんじゃないか。黒岩さんなりにしっかりやってると思う」。今年8月、東京・永田町。黒岩県政への所感を淡々と述べる菅義偉官房長官の心中は、穏やかではなかった。

 菅氏は7年半前、黒岩氏を知事選に担いだ立役者。安倍晋三首相とも親しい知事は、首相官邸との太いパイプを県政運営の推進力とし、東京五輪の費用負担や国家戦略特区などで「実績」を勝ち取ってきた。

 しかし今年3月、従来の関係性にすきま風が吹き込む事態が勃発した。災害救助法の改正を巡り、小此木八郎防災担当相(当時)と個別面談した際、感情的な「説教」を繰り広げて政府側の反感を買ったのだ。

 全国知事会の意見を代弁する立場とはいえ、持ち前の発言力が裏目に出た格好。一時は官邸に「出入り禁止」とのうわさが県政界を駆け巡り、県幹部らが青ざめる「事件」へと発展した。1年ほど前にも県議会の領域を侵すような発言で批判を受けたこともあり、無風状態の「おごり」や「緩み」を指摘する県議は少なくない。

 官邸との亀裂は修復されつつあるものの、自民党県連会長の小此木氏との間に生じたあつれきの代償や、「知事与党」が大半を占める県議会から向けられる支持の熱量は未知数だ。

 前回の知事選で自民、公明、民主(当時)など与野党相乗りにより、219万票を獲得して大勝した黒岩知事。県政界では「次も出る」との見方が大多数だが、自民や公明は静観しながら知事との距離感を探る。一方、民主の流れをくむ立憲民主党は「立民らしい知事を誕生させたい」(阿部知子県連代表)などとし、これまで対立候補を推してきた共産党も候補者選びを進める。

 3期目を目指して出馬するのか、しないのか-。黒岩知事は「(次の選挙を)考える余裕もない。今は目の前にあることを着々とやって、総仕上げをしていきたい」と述べるにとどめている。

 
 

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