米飯などの主食とおかず、牛乳がそろった「完全給食」を中学校に導入すべきかを議論していた平塚市教育委員会の検討委員会が10日、「共同調理場方式による完全給食を実施することを望む」とする提言をまとめ、落合克宏市長に報告書を提出した。落合市長は「教育環境の整備を進めている中で、次の大きな課題になる」と前向きな姿勢を示した。
検討委は小中学校の校長や保護者らで構成。昨年から11回の会合を重ね、議論してきた。2月に市民にアンケート調査をし、約6割が給食の実施を求めたことなどから完全給食を提言することを決めた。
実施方式についても協議し、大磯町で導入していたデリバリー弁当は「子どもたちに届く前に冷めてしまう」(委員)と除外。各学校で調理するよりもコストが少ない共同調理場方式を選択した。
野口義嗣委員長(市立横内中学校校長)は「家庭の働き方も時代の流れで変わり、食生活も変化した。バランスのある栄養を取ることのできない子どもたちもいる」と完全給食実施の意義を強調した。落合市長は「中学生は体づくりの大切な時期。しっかり考えたい」とする一方、実施時期については「財政上の問題もある」と明言を避けた。
市教委によると、提言を踏まえ、今後完全給食実施に向けた検討をしていくという。ただ、市立小学校の給食を調理する市内2カ所の共同調理場では老朽化が進んでおり、担当者は「中学校の給食も一緒に調理するのには敷地が足りない。ただ施設を新築し直すだけでは難しい」と説明した。
市立中学校では長らく牛乳のみを提供するミルク給食だったが、2017年に業者の弁当販売が全15校でスタート。17年度の利用率は5・3%にとどまっている。